正月用のしめ縄飾りを作り始めて半世紀。11月下旬、山吉輝穏(てるやす)さん(79)宅には太さや長さの違うしめ縄がずらりと並ぶ。
2~3本を組み合わせてしめ縄飾りを作成。毎年約100個を作り、産直市で販売したり知人に贈ったりしている。
田んぼの一部にしめ縄用のもち米を植え、10月初旬に収穫。わらの青さを残すため、日に当てるのは1日だけ。約1カ月間、倉庫の中で陰干しする。
わらを縄にする直前に、乾燥したわらの束を水でぬらし、木のつちで108回以上たたき、しなやかに扱いやすくする。
山吉さんのしめ縄飾りは「となりの農家高屋店」で販売。毎年、予約分で売り切れるほどの人気だ。
新型コロナウイルスに振り回された一年。しめ縄飾りに「五穀豊穣、家内安全。2021年は健康な一年になるように」と思いを込める。
山吉さんの作品

上がしめ縄飾り(大)。ウラジロや南天なども自身で調達。下が「鶴と亀」

縁起のよい「宝船」
「鶴と亀」や「宝船」は知人などに贈る作品。山吉さんが初めてしめ縄を作ったのは高校生のころ。完成品をほどきながら独学で技術を身に付けてきた。30代から自宅用、親戚用など、本格的に作り始めた。産直市で販売するようになったのは約10年前。
しめ縄作りの工程

ぬらしたわらを木のこので打ってしなやかにする。一束108回以上は打つ

中にわらをまとめた「あんこ」を入れて太さを調整

ぎゅっぎゅっと反時計回りにねじっていく

組み合わせる前のしめ縄。わらのいいにおいがする

しめ縄の中サイズを作る時は、1本をくるくるっと回して…

もう一本と組み合わせて3連にして形を整える
撮影:井川良成
文:橋本礼子