東広島で活躍するリーダー・ときの人に話を聞く『輝きいろいろ』✨
今回は今田酒造本店(安芸津町)社長兼杜氏の
今田 美穂 さんにインタビューをしました。
―この仕事に就いたきっかけは
大学を卒業後、東京の百貨店などに10年間勤務していましたが、バブル崩壊で帰郷。33歳となり、「一生、打ち込める仕事を」と思っていた矢先、家業を継いで酒造りをやってもいいかな、と思うようになりました。
広島杜氏と呼ばれる多くの名杜氏を輩出してきた安芸津町で、蔵が違う杜氏の誰もが、素人の私を「造り仲間」として温かく迎え入れてくれ、酒造りの一歩を踏み出すことができました。
―どのような思いで酒造りに取り組まれましたか
私が日本酒業界に入った1990年代初期はまだまだ女性杜氏が珍しい時代。ただ、私の蔵では、女性蔵人は普通に働いていました。だから、女性だから、という特別な意識はなかったですね。
とにかく、先輩の杜氏さんが造ったお酒に衝撃を受けていました。「なぜ、こんなにキラキラした味になるのだろう」と。先輩杜氏さんに一歩でも近づきたい思いで、酒造りに向き合ってきました。今でも、その思いは変わりません。
―1990年代初期は日本酒を取り巻く環境も変化していた時代ですね
酒販免許が緩和されたり、1級、2級などの級別制が廃止されたり、と酒造りの現場も軌道修正が迫られていました。
当時、うちの蔵では、普通酒が半分程度でしたが、それでは他の多くの蔵と差別化を図ることができません。先代社長の父と相談しながら、純米酒など付加価値の高い高級酒を、より増やすことに舵をきっていきました。
―安芸津町は「吟醸酒の父」と称される三浦仙三郎の生誕地です
吟醸酒は、三浦仙三郎が生み出した軟水醸造法が、現在の吟醸酒造りの礎になりました。
今田酒造が醸す「富久長」の吟醸酒は、三浦仙三郎が座右の銘としていた「百試千改」の情熱を、そのまま伝統として引き継いでいます。
百試千改の情熱は、カキなど瀬戸内の海の幸に合うレモンのような酸味の「海風土(シーフード)」や、サタケの最新の精米機技術を使った「HENPEI」「GENKEI」新しい日本酒の開発に結び付いています。
―20年前からは海外へも販路を広げてきました
海外旅行が好きだった父が、海外で見聞したことがきっかけになりました。当時の外国人には、日本酒といえば「ホット サキ」、つまりアツアツで飲む安いお酒程度の認識しかなく、「香り豊かな吟醸酒の文化を世界に発信したい」と、海外に輸出するようになりました。
毎年、少しずつ販路を開拓し、現在では出荷量の2割を、欧米を中心に20カ国に輸出しています。
―今、力を入れていることは
温暖な気候風土が特徴の瀬戸内海沿岸地域は、新鮮な食材が手に入りやすい環境にあります。素材の味わいを邪魔しない、広島らしいお酒を造っていくという思いは今後も変わりません。
そこをベースにしながら、試行錯誤を重ねています。一方で精米歩合にこだわらないお酒を考えていきたい、と思っています。
―昨年は英BBC放送が発表した「今年の100人の女性」に選ばれました
まさか私がという感覚でした(笑)。私が出演したドキュメンタリー映画「カンパイ!日本酒に恋した女たち」(19年公開)が、選出に影響を与えたのかもしれません。
映画では、日本酒の世界で活躍する3人の女性のリベラルな姿が描かれています。欧州の人がイメージしていた、伝統が醸す重苦しい酒造りの世界ではなかったことが新鮮に映ったのでしょう。
―5年前からは4代目社長として経営も担っています
うちは8人で切り盛りしている家業のレベル。全員が酒造りだけではなく、合間を縫っていろいろな仕事をしないと回りません。だから私自身も二束のわらじというような感覚はありません(笑)。
社員の半数は女性で、英国出身の男性蔵人もいます。 性別や国籍、年齢に関係なく、皆が協力し合える職場づくりを大切にしています。子育てを終えた女性がキャリアに復帰できるような会社にしていきたいと思っています。
―東広島市へはどんな思いを
瀬戸内海を臨む安芸津町は古くから酒造りが盛んに行われました。杜氏の里として、西条をはじめ全国の酒蔵に、多くの杜氏や蔵人を送り出してきました。
私自身、同級生の両親には酒造関係者が多く、子どものときから酒造りが当たり前の環境で育ちました。だから安芸津町への思い入れは強く、安芸津町から、もっともっと日本酒の魅力を発信していきたい ですね。私の夢ですね。
(取材:日川 剛伸)
PROFILE
いまだ みほ 1961年生まれ。明治大卒。百貨店勤務などを経て、94年安芸津町に帰郷。家業を継ぐ。
2016年、4代目社長に就任。20年、英BBC放送の「今年の100人の女性」に選出された。
\東広島観光ガイドで今田酒造本店をチェック/

🔍最新の東広島ニュース

8月3日(日)は、きねはら防災ひろば2025へ!楽しく学ぶ防災体験
地域在住の防災士監修イベントもっと楽しく学ぼう!このまちのコト!きねはら防災ひろば2025 {toc} イベント概要 見える化して体感! わが家の避難プラン 「もし災害が起こったらどのように行動する?」1人だと考えにくい […]

三四郎のDearボスで西条中央のテシゴトが紹介される! 8月3日放送【東広島】
東広島市西条中央の株式会社テシゴトが、広島テレビで8月3日放送の「三四郎のDearボス」にて紹介されます。酒処西条で日本酒ではなくビール作りに挑戦する株式会社テシゴトが運営するやまいち精肉店に、お笑い芸人の三四郎さんが訪 […]

【将棋】次の一手[二段]【プレスネット2025年7月31日号掲載】
【二段】問題 次の一手を考えてください。〈プレスネット2025年7月31日号掲載〉 【図は☖8二同銀まで】 【ヒント】寄せの好手 〈出題/日本将棋連盟 東広島支部〉

【将棋】次の一手[過去の問題]
【初段】問題 次の一手を考えてください。〈プレスネット2025年7月17日号掲載〉 【図は☖9二玉まで】 【候補手】①☗2七飛②☗2七歩③☗9三角成 【上級位】問題 次の一手を考えてください。〈プレスネット2025年7月 […]

【旬のスケッチ2025】1万本のヒマワリに笑顔も満開
夏の日差しを浴びて1万本の満開のヒマワリが青空に映えます。ヒマワリ畑の中で写真を撮ったり、迷路やクイズに挑戦したり大勢の家族連れでにぎわいました。 遊休地を自然と触れ合える場所にしたいと地元の市民グループ「自然でトト […]

広島大学で「JAZZ CONCERT」開催 学生がデザインした芝生広場を活用【東広島投稿バコ】
プレスネット読者・東広島デジタルユーザーからの「東広島地域ニュース」投稿コーナー【東広島投稿バコ】 広島大学工学系総括支援室の坂本さんの投稿をご紹介します。 広島大学で「JAZZ CONCERT」開催 学生がデザインした […]

東広島市内学校の校歌を紹介!「学び舎メロディー」だより
学校の校歌を聞いて、あの頃を思い出しませんか? 東広島の学校の校歌をお届けするコーナー『学び舎メロディー』はFM東広島89.7MHzで月曜日から金曜日の朝8時50分からオンエアー!(PCやスマホからも聞けちゃいます!) […]

「カーボンニュートラルと未来の農業を考える高校生ワークショップ」8月18日開催【東広島投稿バコ】
プレスネット読者・東広島デジタルユーザーからの「東広島地域ニュース」投稿コーナー【東広島投稿バコ】 広島大学Town&Gown未来イノベーション研究所の河本さんの投稿をご紹介します。 「カーボンニュートラルと未来 […]

河内高校日本文化研究部が平和を考えるメッセージを展示 8月20日まで【東広島投稿バコ】
プレスネット読者・東広島デジタルユーザーからの「東広島地域ニュース」投稿コーナー【東広島投稿バコ】 広島県立河内高等学校日本文化研究部顧問の利重さんの投稿をご紹介します。 河内高校日本文化研究部が平和を考えるメッセージを […]

地域でつなぐ 伝統の盆踊り【西条盆踊りの夕べ】
水かけ祭りやライブ、花火も! 夏の夜をみんなで楽しもう 東広島・西条の夏の風物詩「西条盆踊りの夕べ」が、2025年8月16日(土)16時~21時に開催されます。会場はJR西条駅北側の御建グラウンド。 昭和4年に始まり […]