東広島市の市民有志でつくる「次世代による東広島の原爆体験継承ネット」が、東広島市民からの戦争・被爆の体験談や、当時の写真・文書資料を集めている。
中心になって取り組んでいるのは元高校教員の大石秀邦さんと、東広島青少年オーケストラを指導している有谿英彰さん。広島市や呉市などでは、戦争や被爆体験に関する資料は、多く収集され継承されているが、大規模な空襲を受けなかった東広島市では、戦争や原爆体験の体系的な資料は乏しいのが実情だ。
一方で、賀茂高等女学校(現賀茂高)の生徒や、旧賀茂郡北部地域の若者たちで構成された賀北部隊などが、被爆直後の広島市で救援活動に当たったり、西条農学校(現西条農高)の生徒が西条町内で広島から運び込まれてきた被災者の救援活動に従事したりしてきた。
こうしたことを踏まえ、当時のことを知る市民から体験談などを集め、「東広島の中高校生たちのために、東広島発の生きた平和教材を」と昨年春から収集活動を開始した。活動は、市の「市民協働のまちづくり活動補助金」事業としても採択された。これまでに、10数点の体験談などが集まり、3月末までに冊子にまとめる。戦争を体験した当事者の高齢化が進んでいることから、その後も、継続的に収集活動を続け、第二、第三弾の冊子を刊行していく予定。
大石さんは「当時の若い人たちがどのような思いを抱き生きてきたのか―。等身大の声を、今の若い世代に伝えながら、その世代が次世代に継承していく取り組みにしたい。東広島で、戦争や原爆を捉えられる教材を作っていきたい」と話している。
詳細は有谿さん080(2887)1930。メールでの問い合わせはk_aoi20149@royal.ocn.ne.jp(同ネット事務局)へ。
(日川)