昨年12月、広島大学で学ぶ留学生と東広島市民の交流の場に、と同大学内にサークル「ユナイテッド・コミュニティ」を立ち上げた。「留学生と、市民との橋渡し役を担えるよう、息が長いサークルにしていきたい」と張り切っている。
(日川)
広島大に入学以降、コロナ禍の影響で、入会を希望していた国際交流系サークルの多くが休・廃部に追い込まれていた。「入りたいサークルが見つからなかった。だったら私が作ろうかなと」。知人などを通じて呼び掛けると、留学生4人を含む8人の学生が運営メンバーとして集まった。「留学生と日本人の間に絆が生まれるように」という願いをサークル名に込めた。
活動の柱に据えているのは、日本語交流会だ。留学生や日本人学生、市民たちが日本語で自由に語り合い、コミュニケーションを図っていく。これまで対面形式で1回、オンライン形式で2回の交流会を開いた。
留学生には、教科書にはない、生きた日本語を勉強できる機会を、市民や日本人学生には、留学生たちの多様な価値観に触れ、日本社会との比較を考えるきっかけづくりを、それぞれ提供したい、という。「コロナが収束したら、月に2回、対面での交流会を定着させたい。参加者同士の深いつながりから生まれる、さまざまな可能性を大事にする集いになれば」
両親とも中国人。父親の仕事の都合で、13歳で日本にやってきた。以後、ずっと日本で暮らす。穏やかな表情で語る流ちょうな日本語は、日本人と一緒に学んだ学校生活で、自然に身に付けていった。
ただ、来日した当初は、遠回しな言い方の日本語にもどかしさを感じていた、という。「やっと、日本語に込められている意味を読み取ることができるようになった」と振り返った後、「留学生が日本の文化になじんでいくためには、一つの日本語に、複数の意味が込められていることを学ぶ必要があるかな」と分析する。
4月には、キャンパスに1年生が入学する。「もっと運営メンバーを増やして、サークルの土台を築きたい」。大学卒業後の先にある夢を尋ねると、「先進国と発展途上国の間にある経済格差などの国際問題を、科学技術で解決できる仕事に就きたい」とほほ笑んだ。