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「市民の命守ることに全力」 東広島警察署 中道弘志新署長インタビュー

  • 2022/06/18

 今年3月、東広島署の新署長に中道弘志氏が着任した。「命に関わる事案に、的確に対応したい」と言い切る中道氏に、東広島管内の課題や、意気込みなどについて伺った。(日川剛伸)

署長
プロフィール
なかみち・ひろし 1962年、広島市安佐南区生まれ。大学を卒業後、85年県警入り。刑事畑を歩んだ後、中国四国管区警察局災害対策官、人材育成課長、三次署長、警務部監察官室長などを経て、今年3月から現職。趣味は剣道で教士7段の腕前。

増えるDV、ストーカー被害

被害者保護を最優先

災害対策は事前準備に力

―一番の課題は。

 ストーカーやDV(配偶者暴力)、児童虐待などの対応だ。昨年、管内で相談を受けた認知件数は、ストーカーが約40件、DVが約140件、児童虐待が約120件と、いずれも一昨年よりも増えている。
 恋愛や愛情関係のもつれから生じる、これらの事案が怖いのは、命の危険に関わってくるからだ。東広島署としては、初動対応と、被害者の保護を最優先に考えた対策に全力で取り組み、被害を最小限に食い止めるよう注視していく。

―出水期を迎えています。

 災害対策にも力を入れる。近年の気象現象は、正確な予測が難しいのが特徴。だからといって被害があってから対策を講じていたのでは、全てが後手、後手に回る。市に署員を派遣するなど、行政との連携を密にしながら、人命を最優先した避難誘導や交通規制など、災害
を未然に防げるよう事前準備に万全の対策を講じたい。
 大災害になればなるほど、想定通りにはいかなくなるもの。マニュアルが崩れたとき、臨機応変に対応するためにも、事前準備は不可欠だ。

―犯罪では自転車の窃盗が目立ちます。

 無施錠が原因で盗難に遭うケースがほとんど。気の緩みからか、自転車利用者自らの防犯対策ができていない。「割れ窓理論」ではないが、軽微な犯罪であっても、そのまま対策を講じないでおくと、大きな犯罪につながりかねない。防犯教室やキャンペーンなどを通じて、駐輪時での鍵掛けを呼び掛けていく。

―指揮官として署員に訓示していることは。

 与えられた状況の中で、そのときできる最大限のことをしよう、と。やってはならない一つが前さばき。例えば、困って警察を頼ってきた人を門前払いにするなど、物事を安易に済ませようとして、小手先でかわすようなことをしていたら市民の信頼は得られない。 東広島署員の平均年齢は39歳。昭和の良いところは継承しながらも、今の時代に即した指導ができるよう心掛けていきたい。

東広島署が認知した人身安全関連事案状況

(2021年 東広島署管内 カッコ内は前年比)

ストーカー約40件(+12)
DV(配偶者暴力)約140件(+15)
児童虐待約120件(+23)

 DV案件は140件と、東広島市ではほぼ2日に1件の割合で東広島署に相談が寄せられている。人口増と人権意識の高まりが相談件数に拍車を掛けている格好だ。別の見方をすれば、通報(相談)がない状態で警察が介入することは難しく、認知件数の増加は、事件がエスカレートする前に被害を最小限に食い止めることができることも示唆している。

犯罪の発生状況

(2022年1月~4月 東広島署管内 カッコ内は前年比)

自転車盗65件(+30) ※うち無施錠46件
万引き39件(+1)
車上ねらい10件(±0) ※うち無施錠10件
その他の窃盗38件(+2) ※工事場ねらい11件等
器物損壊等32件(+10)
知能犯(詐欺など)18件(+11)

 認知した刑法犯件数は、241件(前年比29.6%増)。うち窃盗が152件と全体の63%を占める。窃盗犯で最も多いのは自転車盗の65件。原因の3分の2は無施錠で、本来であれば防げること。鍵を掛ける単純な行為で盗まれるリスクを下げられる。

FM東広島(89.7MHz)
中道署長のインタビューを放送

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