6/15

(SUN)

東広島トップに聞く! ㈱尾前社長 尾前雅弘氏 太陽光 見える化で事業者をサポート

  • 2025/05/29

 太陽光発電が市場に登場するようになって15年余り。東広島市内でも太陽光で発電を行うソーラー(太陽光)パネルが散見する。その再生可能エネルギー事業を、設計から施工、保守管理まで手掛けるのが㈱尾前(本社・東広島市西条大坪町、尾前雅弘社長)だ。尾前社長に太陽光事業への思いを聞いた。(日川剛伸)


㈱尾前社長 尾前雅弘氏

保守管理と建設が事業の柱

創業は2016年です。

 起業前は、大阪に本社を置く、総合設備工事会社のきんでんに25年、勤務していました。会社員時代の後半には、大型メガソーラーの建設に取り組むことになり、多くの工事責任者として抜てきされました。その際に、私の仕事ぶりを評価してくれた、東京の発電事業者の紹介で広島の発電所の管理を個人的に依頼されたのが独立のきっかけになりました。


会社の草創期は。

 太陽光発電所は、メンテナンスが不可欠です。ただ、故障を放置している発電事業者も多く、創業当初は定期的に回路の点検や、パネル周辺の草刈りを行いながら発電事業者をサポート、トラブルや発電量低下といった問題を解決してきました。その後、広島の不動産会社が再生可能エネルギー事業に進出することになり、太陽光発電設備の設計・施工を担うようになりました。会社員時代のキャリアが生かされ、創業して3年目から、保守管理と設計・施工の二つを事業の柱にすることができました。


売上高は順調に推移していますか。

 創業以来、右肩上がりでしたが、23年度決算で前年度比から70%に落ちました。要因は太陽光発電の国の買い取り制度の改正と、過剰な太陽光発電所の設置によるものでした。再生可能エネルギーが増えすぎたことで、電力会社が出力抑制を実施。発電事業者の事業収益が減って事業者の投資効果が抑えられ、弊社も減収になりました。こうしたことを踏まえ、発電事業者に左右されないよう、①保守管理業務の事業拡大②保守管理業務の管理者と技術社員の育成③大型蓄電池事業への参画④自社での土地取得から太陽光発電所の販売への展開―の四つにテーマを絞って、事業展開を進めました。


㈱尾前


今後は蓄電池事業に本腰

蓄電池事業の参画のねらいは。

 前述したように、太陽光発電所の過剰建設は否めません。日中、天気が良いと発電量は上がりますが、土日や祝日は、工場・事務所での電気使用量が減るため、電気の作
り過ぎが要因となり、電力会社は発電をコントロール(出力抑制)にシフトせざるを得ません。
そうしたことから、3年前から電気を蓄電する技術が本格的に事業化できるようになりました。弊社でも島根県で事業用地を見つけ、中国地方では最初か、2番目の大型蓄電池の建設に着手することになりました。中小企業でも蓄電池事業ができるよう経験を積んでいきたいと思います。現在も蓄電池工事の引き合いは増えてきており、将来、電気を貯める時代になってくるのでは、と期待しています。


会社の将来像はどう描かれていますか。

 保守管理業務は会社の原点。初心を忘れることなく会社の理念に従って向き合っていきます。ただ、管理費をいただくのではなく、除草や回路切れなどを早期発見し修繕することで、収益がアップしていることを、監視装置データなどを利用して「見える化」し、お客さまとの信頼関係を構築していきます。
 一方で、蓄電池事業も、今後、大きな軸として事業展開できるよう企業努力をしていきます。最後に人材育成を進め、将来、弊社の看板を背負っていけるような技術者・管理者を育てていきます。



企業情報

【株式会社尾前】
 2016年創業。主な事業は太陽光発電所の保守管理、太陽光発電設備の設計・施工、自家消費設備工事など。これまで設計・施工を手掛けた発電所は高屋発電所(東広島市の白市駅周辺)や安芸高田発電所など20件以上。保守管理している発電所は西日本を中心に80カ所以上に上る。売上高は22年度決算で4億5000万円。

【尾前雅弘さんプロフィル】
 1968年、東京都生まれ。東海大学原子力工学科卒。卒業後、㈱きんでんに25年間勤務。その後、両親が広島に住んでいたことが縁で、広島に生活の拠点を移す。2016年、東広島市で会社を興す。趣味はゴルフ。

記者の画像

プレスネット編集部

広島県東広島市に密着した情報を発信するフリーペーパー「ザ・ウィークリープレスネット」の編集部。

東広島の行事やイベント、グルメなどジャンルを問わず取材し、週刊で情報を届ける。

おすすめ記事

新着記事