
(公財)アイヌ民族文化財団(北海道札幌市、常本照樹理事長)が運営するウポポイ(民族共生象徴空間)は3月5日、アイヌ文化の普及を目指しウポポイライブラリーイベントを近畿大学附属広島高・中学校東広島校(東広島市高屋うめの辺、橋本晃一校長)で開き、生徒や保護者ら約120人が参加した。
同校は昨年10月から半年間、ウポポイからアイヌ民族に関係する書籍50冊を無料で貸し出しを受けたウポポイライブラリーの利用校。イベントは、同利用校で実施し広島県では初開催。

講演会では、俳優でアイヌにルーツを持つウポポイ名誉アンバサダーの宇梶剛士さん(63)が講師を務めた。先住民族であるアイヌの苦難の歴史や、言語と自然界の全ての物に魂が宿るとされる精神文化、独特の刺しゅう、木彫りなど固有のアイヌ文化を表現力豊かに語り、生徒らはうなずきながら聞き入った。宇梶さんは「アイヌ文化を知ってもらい好きになってもらいたい」と呼び掛けた。

この後、ウポポイの職員らの指導で、アイヌ民族の楽器であるムックリ(口琴)の演奏体験や、アイヌ語で動物の名前や数字にチャレンジし、アイヌ文化の体験をした。

最後に、生徒らは宇梶さんやウポポイの職員らにアイヌ語で「イヤイライケレ(ありがとうございました)」と感謝の言葉を述べた。中学1年の信木亨治さんは「アイヌ民族が迫害された歴史やアイヌ文化を肌で感じることができた。修学旅行でウポポイに行くのが楽しみ」と話していた。

ウポポイは、アイヌ文化の復興・創造などの拠点として2020年に北海道白老町にオープンした国立博物館。同校は毎年、修学旅行で訪れている。 (山北)