12/6

(SAT)

東広島トップに聞く! ㈱ムクダ産業運輸社長 高橋理歌氏 大型重量物の運送が柱

  • 2025/08/27
メルマガ転載2508_ムクダ産業運輸_サムネYahoo

 木材や紙など主に大型重量物の輸送を手掛けるムクダ産業運輸(本社・東広島市黒瀬町津江)。車両約40台を所有し、ドライバーら男性が中心の社員35人を束ねるのは、女性の高橋理歌社長だ。高橋社長に経営理念や業界の動向などさまざまな思いについて話を聞いた。(日川剛伸)

女性が活躍できる業界に

社長就任は2012年です。

 もともとは東京でセールスエンジニアの仕事をしていました。結婚後、産休で呉市に里帰りした際、家業で会社を経営していた母親から、『広島に戻って来ないのなら閉業を考える』と相談をうけ、意を決して運送会社を継ぐことにしました。
 経営するという観点からは、男性も女性も同じだと思っています。男性中心の業界にあっても、周囲の目を意識したことはありません。ただ、「女性で大丈夫ですか」と言われないよう、男性以上に努力するように心掛けています。

事業内容は。

 車両重量が10㌧以上の大型トラックと、トレーラーなどのけん引車両を所有し、木材や紙、鉄製品、自動車部品などの大型重量物輸送を得意としています。特に木材やロール紙は、長年蓄積してきたノウハウを持っています。メーカーを中心に中国、関西、東海方面に取引先があります。
 もう一つ、私が社長に就任してから、前職を生かす形で、コンサルティングサービス事業部を立ち上げました。ホームページの作成代行や、システム開発の設計などを、他社と連携し、本業がおろそかにならない範囲で取り組んでいます。

22年には、広島県トラック協会の初代女性活躍促進検討部会長に就任されました。

 若い世代への意識調査によると、女性が少ない業界には就職したくないという結果が出ています。運送業界は、男性が8割以上の世界ですが、そのイメージを一掃し、女性を含め、多様な人材が活躍できる業界であることをアピールしていきます。経営者になる、ならないは難しさがありますが、管理職であれば、きめ細かな女性の特性を生かされ、十分に能力を発揮できます。私が良い意味でロールモデルになれれば、と願っています。

メルマガ転載2508_ムクダ産業運輸_ペイフォワード

「ペイフォワード」が社員の共通認識

社員に訓示していることは。

 「ペイフォワード」という言葉です。見返りを求めることなく、誰かのために何かできることをやろうと。例えば、道路に落ちていた石を拾うだけで、飛び石があったとき、車のガラスに傷が付くことを防ぐことができます。その言葉を社員に伝えるのは、社員が働きやすい環境を作るためです。相手を思いやる行動が当たり前のこととして自然にできるようになれば、社員同士、居心地が良くなり、ひいては会社の質が上がり、お客さまサービスの向上につながるからです。
 因果関係は分かりませんが、私がペイフォワードを口にするようになって、愛知県警や海上保安庁から、弊社のドライバーが人命救助で表彰を受けました。社員の心に浸透しているのかな、と思っています。
 弊社の仕事は、一人ひとりの力が大切になる仕事です。だからこそ、社員が安心して力を発揮できるよう、心のケアもサポートできるようにしています。

これからの展望は。

 社員が、弊社で働いてくれているのは一つの縁です。縁ある限り、トラックの運転が、高齢を理由に難しくなっても、そこから10年働けるようなビジネスモデルを構築していきたい、と考えています。農業もいいでしょうし、キャリアを生かすのならタクシードライバーもいいでしょう。それぞれの社員の次の人生の延長線上にある夢をかなえてあげられるよう、願っています。

【株式会社ムクダ産業運輸】
 1969年、ムクダ商会として呉市で設立。77年、有限会社ムクダ産業運輸に社名変更。85年、事業拡大で東広島市黒瀬町津江に移転、株式会社化した。2012年、椋田隆子の後を継ぎ、娘の高橋理歌が社長に就任。13年、郷原車庫設立。15年、呉営業所設立。社員数はパート含め35人(今年7月末現在)。

【高橋理歌さんプロフィル】
 1974年、呉市生まれ。呉三津田高校卒。米カリフォルニア州立大学を卒業後、東京のソフトウエア開発メーカー(ユニリタ)に就職。その後、三井物産にヘッドハンティングされ、セールスエンジニアとして勤務。出産で里帰りしたのを機に、家業を継ぐことを決め、2012年、社長に就任。コンピューターのプログラミングを学ぶ呉の市民団体の代表も務める。

プレスネット編集部

新着記事