
正月(しょうがつ)に食べる「おせち」は、一年の健康や幸せを願う祝いの料理です。長く受け継がれる日本の伝統的(でんとうてき)な食文化で、縁起(えんぎ)の良い食材を使って作られます。東広島の和食料理人の松岡正已(まつおか・まさみ)さんに、おせちに込められた願いや、作るときに大切にしていることを聞きました。(黒杭)
※この記事は、親子で楽しめるようにやさしい言葉でまとめています。
おせちの始まり
おせち料理は、新年(しんねん)の神様「年神様(としがみさま)」にお供えするための料理として始まりました。供えた後に家族で食べることで、厄(やく)を祓(はら)い福を呼び込むと考えられていたそうです。おせちという名前は、季節の節目となる節句にお供えする「御節供(おせちく)」が由来(ゆらい)といわれています。
日持ちさせる工夫
おせちは、砂糖や酢でしっかり味付けして日持ちさせ、元日(がんじつ)から三日間(みっかかん)の「三が日(さんがにち)」にゆっくり味わえるように作られています。日持ちさせる理由はさまざまで、来客で忙しい正月に料理の手間を減らすため、店が休みで食材が手に入りにくいためなど。神様を迎えるため、三が日に包丁や火を使わないという昔の言い伝えもあるそうです。
華やかな見た目
おせちは見た目の美しさも重要で、飾(かざ)り切りや色の組み合わせなど、和食ならではの技が詰(つ)まっています。松岡さんは「正月の食卓(しょくたく)を華(はな)やかにし、新年の幸せを願いながら作っています」と話しています。
ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」
日本の伝統的な料理「和食」は、2013年にユネスコ無形文化遺産(むけい ぶんか いさん)に登録されました。栄養バランスの良さや季節感(きせつかん)のある盛り付け、正月などの年中行事との関わりが評価され、日本人の暮らしや心を大切に伝(つた)える文化として世界に認(みと)められています。
大切な道具見せて! 食材や切り方で使い分けるプロの包丁

柳刃包丁(やなぎばぼうちょう)
写真上。刃が薄く、刃渡りが長い。刺し身を切るときに使う。
出刃包丁(でばぼうちょう)
写真中央。刃が分厚く丈夫で重い。魚の骨を切ったりさばいたりするときに使う。
細工包丁(さいくぼうちょう)
写真下。刃が薄く、小さくて軽い。野菜の飾り切りなどに使う。
やってみよう! 飾り切り
飾り切りは、野菜を植物や季節の風物などの形に切って、料理をより華やかに演出する技です。煮崩れしにくい、しっかり味が染み込むなどの良い点もあります。
おうちでするときは型抜きを使うと簡単だよ!

松岡さんに聞く 挑戦してみよう!おせち料理づくり

①田作り(だづくり)【五穀豊穣】
カタクチイワシの稚魚(ちぎょ)を干(ほ)した「ごまめ」を使う料理。フライパンで軽く炒(い)って香ばしさを出し、しょうゆ・みりん・砂糖で甘辛(あまがら)く煮詰(につ)めます。
②数の子【子孫繁栄】
ニシンの卵。塩漬(しおづ)けの数の子は、ボウルたっぷりの水に塩小さじ1杯を加え、2~3回洗って塩抜きをし、程よい塩加減に整えます。
③黒豆【健康・勤勉】
乾燥した豆を一晩(ひとばん)水に浸(ひた)して戻し、砂糖を加えて炊(た)き上げます。鉄や釘を入れて煮ると、つややかな黒色に仕上がります。
④伊達巻き(だてまき)【学業成就】
卵と白身魚のすり身を混ぜ、だし・砂糖・みりんで甘めに味付けして焼き上げます。仕上げに巻きすで巻いて形を整えます。
⑤紅白(こうはく)なます【平和・平安】
紅白の水引(みずひき)を表現し、ニンジンとダイコンを細く切ります。塩をなじませ、酢と砂糖で味付け。水気をしっかり搾(しぼ)るのがポイント。
⑥栗きんとん【金運・勝負運)】
切って皮をむいたサツマイモに、黄色く色付けるためクチナシの実を入れてゆでます。裏(うら)ごして練り上げ、栗の甘露煮(かんろに)を加えて仕上げます。
松岡 正已(まつおか・まさみ)さん
一般社団法人 広島県日本調理技能士会 理事。料理人歴45年以上。九州の料亭などで経験を積み、東広島市内の飲食店で料理長を務めています。

東広島の和食以外!ちょっと変わった正月メニュー
バーダイニング ナオズの辣子鶏(らーずーちー)やちまきの中華(ちゅうか)料理

揚(あ)げた鶏肉(とりにく)を四川唐辛子(しせんとうがらし)と花椒(かしょう)※1で炒(いた)めた辣子鶏※2や、もち米を竹の葉で包んで蒸したちまきが入った中華おせち。二段重ねで盛りだくさん!
※1:ホアジャオ ※2ラーズージーともいう
バーダイニング ナオズ
住所:東広島市西条岡町3-34 2階
電話番号:082-426-5969
イタリアン ラポルタのチーズやパスタの創作(そうさく)イタリアン

トマトとチーズを使ったサラダのカプレーゼや、パスタのボロネーゼなどが入ったおせち風オードブル。地域の食材を使ったオリジナルのイタリアンが楽しめます。
創作イタリアン ラポルタ
住所:東広島市寺家駅前20-16
電話番号:082-495-0273
プレスネット編集部











