
オーダーメイドの自動車用搬送台車の製造を中心に、「物流を簡単に!」を掲げてシステムサービスを提案する有限会社広島ピーエス(東広島市福富町久芳、宮原和樹社長)。「小さくても、一流企業を目指したい」と目を輝かせる宮原社長に、会社への思いを聞いた。(日川)
ロボットが担う物流システム提案
―2020年に「スマート場内物流®」を販売されました。
従来、荷物の積み下ろしや運搬は人の手で行ってきました。その作業をロボットに任せるのが「スマート場内物流®」です。製造現場から『よっこいしょ』の掛け声をなくし、物流をシンプルにしたい―。スキルが身につかない仕事はロボットに任せ、人にはより価値のある仕事に集中してほしい―。「スマート場内物流®」には、そんな思いを込めています。
このシステムは、牽引型やカート型などの無人搬送車(AGV)と、大量搬送・旋回性に優れ内輪差の少ない4WS台車を組み合わせ、用途に合わせたプランを提案しています。製造現場での生産性向上、人手不足の解消に役立つと期待しています。
―主力は自動車部品搬送用台車の生産です。
これまでの製作台数は累計で3万台を超えています。製作したパーツ用の搬送台車は、ボンネットインナーやアウター、ラジエーターグリル、ドアトリムなど、自動車部品のほぼすべて。二千種類を超えるCADデータは、会社のノウハウになっています。必要なときに必要な分だけ提供するレンタルサービスにも力を入れており、レンタル台車の提供実績は地域ナンバーワンです。
近年は、自動車用搬送台車の製作で培ったノウハウを生かし、農機を保管するテントや、雑草対策用のペグを作るなど、地域の困りごと解決にも取り組んでいます。さらに医療分野では、病院や大学と連携しながら、ボンベカートや点滴スタンドなどの共同開発も進めています。

社員が豊かになることが企業の価値
―経営者としての思いは。
働いている社員が豊かな生活を送れる会社こそ理想であり、企業の価値もそこにあると思っています。いくら売り上げが伸びても、社員に還元できなければ意味はありません。社員がやりたいことを選択でき、将来の人生設計に役立てられる会社をつくるため、日々、かじを取っています。
―社員に訓示していることは。
行動指針は、「おもいやり」「最良」「熱中」「どん欲さ」の四つです。おもいやりを持って、熱中し、どん欲に取り組む。その結果、最良の成果を出せてこそ、豊かさが得られると考えています。
この行動指針に共感できる人なら、前職が製造業以外の人も積極的に採用しています。例えば前職がホテルマンだったら、その接客の知識を製造現場に応用できる。多様な知識を積み上げた人材で事業を構成することで、他社との差別化を図りたいと考えています。
―これからの思いは。
まだまだモノづくりが主流ですが、スマート場内物流®のように、生産性向上の考え方そのものを異業種に提供していくことに注力します。
また、数年後には物流・搬送の枠を超えて、地域工場の〝かかりつけ医〟のような即座に柔軟な対応がなんでもできる会社を目指していきます。もう一つ、製品を実際に「見て」体感してもらう「魅せる工場」化も進め、購買意欲を高める取り組みに挑戦しています。ご来社のアポイントをお待ちしております。
【宮原和樹さんプロフィル】
1980年、東広島市福富町生まれ。龍谷大学法学部卒。卒業後、不動産担保ローンを扱う上場企業に入社。2007年帰郷し、父親が創業した広島ピーエスに入社。13年、社長に就任した。
【有限会社広島ピーエス 会社概要】
1990年創業。自動車ヒンジ部品や溶接部品の製造を経て、搬送容器の製造に転換。2024年度の売上高は3億1900万円。工場の敷地面積は約2万5000平方㍍。工場面積は約3000平方㍍。取引先は212社。社員数は21人。











