
認定NPO法人陽だまり(東広島市西条中央3丁目)は、2003年に発足。「誰もが安心して暮らせるまちづくりのために、必要なサービスは市民の視点で創り出す」を理念に掲げ、在宅福祉サービスや子育て支援に関する事業を展開している。市川マヤ代表理事(57)に設立の経緯や活動に込めた思いを聞いた。(山北)
学童保育や多世代交流など3事業運営
―設立のきっかけは。
私は24歳で結婚し、関東から東広島市へ移り住みました。知り合いも少ない中で、どこか居場所がないような気持ちで過ごしていました。そんな時、地域福祉事業所のボランティア募集を知り、参加しました。そこで多くの仲間と出会い、自分の居場所を見つけることができました。
しかし、事業所は閉所。その後、「私たちができることを地域のために役立てたい」という思いから、2000年に主婦5~6人で会員制の「たすけあい活動」を立ち上げました。会員数も増えたため、活動を継続していくための体制づくりを進め、2003年に法人を設立しました。
―事業の運営と内容は。
運営は、会費と利用料、寄付金、助成金によって支えられています。東広島市の補助金を受けながら、会員制のたすけあい活動「陽だまりクラブ」と学童保育の「放課後こどもくらぶ」、子育てひろばと多世代交流の拠点「funfan 陽だまり」の3つの事業を運営しています。
子どもたちに十分な支援ができるようにスタッフを手厚く配置したり、補助金の対象外となる日曜日もカフェを開いたりと、「地域のニーズ」を優先するほど持ち出し(赤字)が増えます。
昨年度までは、介護事業の利益で赤字を補っていましたが、人材不足によりその柱を失った今、寄付やチャリティー活動で不足分を補っているのが現状です。

「誰もが輝ける場」をつくりたい
―福祉有償運送事業にも取り組まれています。
「公共交通に乗れない人の受け皿に」という思いから、2000年に「陽だまりクラブ」の活動の中で、高齢者や障がい者の移動を支援しようとボランティアによる外出支援を始めました。その後、法律の改正により、利用者からお金をいただくには国の許可が必要になりました。しかし、許可までの道のりは平たんではありませんでした。運営協議会で「バスやタクシー会社と利用者を奪い合うのでは?」という反対の声もありました。私たちは、利用者が普通のタクシーやバスには乗ることが難しい事情を抱えていることを説明したり膨大な資料を用意して交渉を重ねました。そして、ようやく2006年広島県第1号の許可を得ることができました。現在は、行政の補助金がなく、経費もかさみ厳しい経営環境ですが、運転者のアルコールチェックなど、煩雑なルールを事務効率化のソフトを導入したり、高額な運転手養成講習費を抑えるために自前で講習会を開くなど、知恵を絞りながら移動が困難な人たちの「外に出たい」という願いをかなえるために挑戦を続けています。
―今後、10年間の未来予想図は。
私たちの真の目的は、地域の困りごとを解決する「マイナスを埋める」ことだけではありません。誰もが心身ともに健やかに、夢を持って生きられる「創造的な暮らし」の実現です。年齢に関係なく、誰もが役割を持って輝ける場があること、小さな夢をかなえられる場があること。そうした温かな交流というソフトを、施設というハードに吹き込みながら、10年後には誰もが自分らしく過ごせる地域を、築いていきたいと願っています。
【市川マヤさん プロフィル】
1968年生まれ。茨城県出身。東広島市高屋町在住。認定NPO法人陽だまり代表。社会福祉士、放課後児童支援員、ケアマネジャーの資格を取得。大学で社会福祉を学び卒業後、東京都葛飾区役所で福祉専門職として勤務した後、結婚を機に東広島市に移住。趣味はミュージカル鑑賞、サンフレッチェのサポーター。
【認定NPO法人陽だまり 団体情報】
2000年設立、2003年法人化。東広島市西条中央3丁目に拠点を置く特定非営利活動法人。たすけあい活動の会員は約300人。「自分らしくいられる居場所づくり」の推進に取り組む団体。2014年、厚生労働省の「第3回健康寿命をのばそう!アワード~介護予防・高齢者生活支援分野」で、厚労省老健局長優良賞を授賞。
プレスネット編集部











