2026年2月に投開票が行われた衆院選広島4区において、前回(2024年)の約93,000票から約39,000票へと大きく得票を減らし、議席を失った空本誠喜(そらもと せいき)氏。
長年、東広島市を拠点に活動してきた「地元の顔」でありながら、なぜこれほどまでに苦戦したのか。ウェブ上の情報と今回の選挙動向を元に分析します。
女性票が少ない理由
空本氏は「工学博士(原子力工学)」というバックグラウンドを持ち、政策面でもエネルギー政策や中小企業支援といった「硬派・技術寄り」のイメージが先行しています。これが女性票の獲得において以下の壁となりました。
• 「生活実感」との距離感
政策がマクロ経済や技術論に重きを置く一方、同じ東広島を地盤とする鍋島勢理氏が「教育・子育て・手取り」といった生活に密着したテーマを掲げたことで、多くの女性層が「自分たちの代弁者」として鍋島氏を選んだ傾向があります。
• 保守的な価値観の提示
候補者アンケート等で「男系男子による皇位継承維持」を支持するなど、保守的なスタンスが明確です。これが、変化や多様性を重視する無党派層の女性には「旧来の政治家」と映った可能性があります。
• 「維新」の党イメージ
日本維新の会全体のイメージとして「強気な改革」「対決姿勢」が強く、今回のような激戦下では、よりソフトで共感重視の国民民主党(鍋島氏)に女性票が流出しました。
地域別の維新の得票数
広島4区の地域構成
広島4区は以下の自治体で構成されています
- 東広島市(人口最大・票の中心)
- 呉市(旧郡部中心の一部)
- 竹原市
- 江田島市
- 熊野町
- 豊田郡(大崎上島町)
地域別:維新票が「強い/弱い」構造(推定)
1. 東広島市:維新が最も票を取った地域(推定)
理由
- 若年層・大学生(広大)が多い
- 企業誘致で転入者が多く、無党派層が比較的多い
- 維新の「改革」「行政効率化」メッセージが刺さりやすい
- 空本氏の街頭活動も東広島が中心
→ 維新票の中心は東広島市で、全体の4割以上を占めた可能性が高い。
2. 呉市(4区部分):維新は弱い
理由
- 呉は保守地盤が強く、自民の組織票が厚い
- 旧郡部は地縁・後援会型の投票行動が強い
- 維新の都市型支持層が少ない
→ 維新票は伸びにくく、空本氏の得票の中では比率が低い地域。
3. 竹原市:中間レベル
理由
- 竹原は無党派層が一定数いる
- ただし自民・国民の地盤が強く、維新は浸透しにくい
- 空本氏の活動量も東広島ほどではない
→ 一定の票は取るが、東広島ほどではない。
4. 江田島市:維新は弱い
理由
- 高齢化率が高く、保守票が強い
- 維新の政策が刺さりにくい
- 地元密着型の候補が有利になる地域
→ 維新票は限定的。
5. 熊野町・大崎上島町:維新はごく少数
理由
- 小規模自治体で組織票が強い
- 維新の支持基盤がほぼ存在しない
- 空本氏の活動量も少ない
→ 票は少ないが、一定の固定票は入る。
【全体構造まとめ】(推定)
| 地域 | 維新票の強さ | 理由 |
| 東広島市 | ★★★★☆(最強) | 若年層・転入者・都市型票 |
| 竹原市 | ★★☆☆☆ | 無党派はいるが地盤弱い |
| 呉市(4区部分) | ★☆☆☆☆ | 保守地盤が強い |
| 江田島市 | ★☆☆☆☆ | 高齢化・保守票中心 |
| 熊野町 | ★☆☆☆☆ | 小規模・組織票中心 |
| 大崎上島町 | ★☆☆☆☆ | 維新の浸透が弱い |
【票数の推定】(全体39,599票からの分布)
※公式データがないため、過去選挙の傾向+人口比+維新支持層の分布からの推計
| 地域 | 推定得票(目安) |
| 東広島市 | 18,000〜22,000票 |
| 呉市(4区部分) | 7,000〜9,000票 |
| 竹原市 | 4,000〜5,000票 |
| 江田島市 | 3,000〜4,000票 |
| 熊野町 | 2,000〜3,000票 |
| 大崎上島町 | 1,000〜1,500票 |
→ 東広島市だけで全体の45〜55%を占めた可能性が高い。
【なぜ東広島に偏ったのか?】
- 維新の支持層(若年層・改革志向)が集中
- 空本氏の活動拠点が東広島
- 企業・大学・研究都市としての性格
- 地縁型投票が弱い
逆に、 呉・江田島・竹原は「地縁・組織票」が強く、維新が入りにくい構造。
約5万票以上激減の背景
前回93,707票(2024年)から今回大幅に減らした理由は、単なる不人気ではなく「構造的な変化」によるものです。
• 「高市政権」の誕生と保守層の回帰
2025年に誕生した高市早苗総理の人気により、前回「政治とカネ」の問題で自民党から離れていた保守層が、一気に自民前職の新谷正義氏へ戻りました。空本氏が前回獲得した票の多くは「自民への批判票」であったため、その受け皿としての役割が終了した形です。
• 強力な「第三極」の出現
国民民主党の鍋島氏が約6万票を獲得。前回は空本氏が独占していた「非自民・改革派」の票が、若くて発信力のある鍋島氏に完全に分断されました。
• 「敵失」の消失
前回は自民・寺田稔氏のスキャンダルという追い風がありましたが、今回は新谷氏という安定感のある候補者が相手だったことも大きな要因です。














