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(THU)

東広島の力〈27〉武田中学校武田高等学校(東広島市黒瀬町大多田)

  • 2023/07/03

山あいから世界に―。SDGs実践校 ICT教育、他校に先駆け実践

 東広島市黒瀬町の山あいにある1967年創立の武田中学校武田高等学校(前身は呉中学校・高等学校)。高校からの入学もできる併設型の男女共学中高一貫校だ。現在の生徒数は、中高校合わせて593人。卒業後は、ほぼ全員が大学に進学する。同校の教育に迫った。(日川剛伸)

SDGs実践校として、SDGsは生徒たちの間に自然に溶け込んでいる
SDGs実践校として、SDGsは生徒たちの間に自然に溶け込んでいる

 建学の精神は「世界的視野に立つ国際人の育成」。創立者の武田武彦氏が、欧米の中高一貫校を手本に提唱した。

 この創立当初から育んできた教育は、2015年に国連が提唱したSDGs(持続可能な開発目標)と一致することから、19年、他校に先駆けて、SDGsの達成に向けた実践校を宣言。「世界の諸問題を自分の事として捉え行動していく生徒」の育成を指標にして、SDGsに触れる機会を多く設けることに舵を切った。

 入学すると、中1生はSDGsボードゲームを、高1生はSDGsカードゲームをそれぞれ体験。SDGsの本質を知ることで、さまざまなSDGs活動に取り組む下地をつくっていく。生徒会では、1委員会1SDGsを合言葉に、生活委員会は「エコキャップ回収」など8つの委員会がそれぞれSDGsに関わる活動に取り組んでいる。中学校は、教科横断型授業でSDGsを学ぶ。

 こうした生徒の取り組みを引っ張っているのがSDGs研究会だ。校内はもちろん、校外にも積極的にメッセージを発信。20年には全国高校生SDGs選手権で日本一に輝いた。福田薫校長は「生徒たちにとっては、SDGsは身近な存在。学校生活に自然に溶け込んでいる」と目を細める。

 ICT(情報通信技術)を活用した学びにもいち早く取り組む。16年度から、県内の学校では初となるタブレット端末のiPadを導入。中高の生徒一人ひとりに貸与し、授業や家庭学習にフル活用している。福田校長は、例えば、生徒一人ひとりの端末と教員の端末をつないだ双方向の授業など、ICTの実践例を挙げながら、「端末の導入で生徒一人ひとりにきめの細かい対応ができるようになった。効率的な授業が図れるようになった他、生徒のプレゼン能力や課題解決能力も向上した」と強調する。ただ、従来のアナログ型の授業にも長所はあり、デジタルとアナログ双方の利点を併用したハイブリッド型が、武田ならではのICT教育、という。

他校に先駆けて生徒一人ひとりにタブレット端末を貸与。授業や家庭学習にフル活用している
他校に先駆けて生徒一人ひとりにタブレット端末を貸与。授業や家庭学習にフル活用している

 カリキュラムは、生徒の夢に沿った進路を実現させることを念頭に組んでいる。中学校では、1年時から習熟度別の授業を行い、確かな基礎学力の定着を図る。一日7時間授業(1週間で35時間)という豊富な時間数を利用し、生徒の感性を磨く体験型授業を多く用意しているのも特長だ。

 高校では、難関の国公立大や私立大進学に対応したAコースと、国公立大や中堅私立大を目指すBコース、英語以外に第二外国語を学べるグローバルスタディーズ(GS)の3コースを用意。生徒一人ひとりの多様な思いに応える。国際的な視野を身につけるGSは、まさに建学の精神を実践するコース。比較文化など文科省の学習指導要領にはない科目や、ハワイへの語学研修旅行があるのが特長だ。

 これまでに巣立った卒業生は9778人(今年3月末現在)。それぞれが多種多様な分野で活躍しているという。福田校長は「山あいの学校から世界に目を向け羽ばたいていく。考えただけでもイキじゃないですか。山あいの学校だからできることがある、という気概を持って、ウイークポイントをストロングポイントにできるよう、これからも歩んでいきたい」と力を込める。

もっと知ろう!武田自慢

盛んな国際交流

 海外の中高生の留学生を積極的に受け入れている(写真)。武田では、学校にいながら日常的に国際交流があり、生徒たちは自然に国際感覚と英語力を身に付けている。

盛んな国際交流

盛り上がる武田祭・体育祭

 秋に行う武田祭(写真上)は、文化部やクラスが部の活動成果やダンスや演劇などを発表。2日目は一般公開され、大いに盛り上がる。5月に行う体育祭(写真下)は、中1~高3までが縦割りで3チームに分かれ、優勝を目指して競う。

盛り上がる武田祭
盛り上がる武田祭・体育祭

充実の教育環境

 マルチメディア教室は、最新のICT環境を整えプレゼンや議論の場で活用。この他、1万3000冊を揃えた図書室や、デジタル映像システムのプラネタリウム(写真)などをそろえ、生徒の学校生活を支えている。

充実の教育環境

G7広島サミットジュニア会議に参加

 今年3月、G7広島サミットジュニア会議が行われ、サウザー一左さん(高3)が参加(写真)。多様性を認め合う社会にするための提言をまとめた。翌4月には、会議メンバーの代表として岸田総理を訪ね、成果文書を手渡した。

G7広島サミットジュニア会議に参加

多彩な部活動

 体育系12、文化系12のクラブがあり、盛んに活動している。体育系では卓球部が全国大会出場の常連。硬式野球部は育成ながら2人のプロ野球選手を輩出している。文化系はSDGs研究会やICT研究会、フラダンス部など武田ならではのクラブも多い。

SDGs研究会 岡山大学サステナブル国際ブランド会議にて
SDGs研究会 岡山大学サステナブル国際ブランド会議にて
フラダンス部 2023ひろしまフラワーフェスティバルにて
フラダンス部 2023ひろしまフラワーフェスティバルにて

沿革

1967年 呉市に男女共学の呉中学校・高等学校として設立
1971年 東広島市黒瀬町大多田に高校の黒瀬校舎開設
1990年 校名を武田中学校武田高等学校に改称。呉校舎を黒瀬校舎に全面統合移転
1990年 プラネタリウム棟・体育館が完成
2016年 新寮“アウラ”完成
2016年 iPad導入
2016年 新テニスコート完成
2017年 創立50周年
2019年 SDGs実践校を宣言

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