昨年の天候不順の影響で、野菜はこれまでに見たことのない価格に…。ふと視野を広げてみると目新しい野菜に出合った。それがキャベツの原種に近いとされるケール。「青汁」の原材料として有名だが、「生で食べてもおいしい」と評判のケールを、高屋町稲木の自然農園「ALL GREEN」が育てている。

生でも美味
自然農園を経営しているのは加藤貴昭さん。カキ殻石灰や広島和牛堆肥、西条の酒かすなど広島県産の有機肥料を使用して栽培。「瀬戸内ケール」というブランド名で直売所を中心に販売しているほか、特定の飲食店に卸している。旬は冬だが、ハウス栽培でほぼ年間を通して出荷。物価高騰や天候不順の影響を受けているものの、キャベツほど大きな値上げに至っていないという。

栄養が豊富
加藤さんはヨガのインストラクターでもあり、「健康につながる野菜を」との思いでさまざまな栄養素を豊富に含むケールの栽培を始めた。ビタミン、β-カロテン、食物繊維などを含み、高い抗酸化作用もある。「食べている人からは肌荒れや便通が改善したという声を聞きます。また、海外で人気の野菜ということもあり、外国籍の人からの需要もあります」と加藤さん。

調理は簡単
「有機肥料のみで栽培しているからこそ、苦味が少なく、味がまろやかで葉がやわらかく生でも食べやすい」という。このため調理は簡単。カットするだけでサラダ、鍋やみそ汁、炒め物に使用でき、和・洋・中問わず、さまざまな料理に合う。特に豚肉との相性が良く、お好み焼きにもおすすめ。広島市内に瀬戸内ケールを使ったお好み焼き店があるなど、ケールの認知度が高まりつつある。



文 東原理恵子 写真 井川良成 橋本礼子(料理一部提供写真)