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輝きいろいろ 道の駅を観光地の一つに 東広島タクシー 専務 山田 章夫さん

  • 2023/09/19

JR西条駅と「のん太の酒蔵」結ぶルートバス運行の仕掛け人

 貸し切りバスの運行も手掛ける東広島タクシー(本社・東広島市西条町御薗宇)が、JR西条駅と「道の駅西条のん太の酒蔵」(西条町寺家)を結ぶ無料のルートバスを運行している。観光庁の補助金を活用した、12月20日までの実証運行で、評判は上々だ。(日川)

東広島タクシー 専務 山田 章夫さん
プロフィール
やまだ・あきお 1984年生まれ。神奈川大工学部卒。スミカ勤務を経て2009年、東広島タクシー入社。21年から同社専務取締役。

 開口一番、「東広島市は、広島市や宮島を訪れる国内外の観光客の立ち寄りが少ない。実証運行は、観光客に、少しでも東広島に目を向けてもらうための挑戦。挑戦なくして成功はないから」と力を込める。

 昨年オープンした道の駅は、西条の酒や東広島市9町の〈食の魅力〉が凝縮された空間。「道の駅は、旅の目的地になる施設。道の駅を活用すれば、観光客の東広島での滞在時間を増やすことにつながるし、東広島に宿泊客を呼び込むきっかけにもなる」。そんな気付きが、ルートバスの運行へと心を動かした。

 ルートバスは今年5月から運行。利用した観光客からは、『道の駅は、東広島の観光先の一つにふさわしい』といった声が寄せられている一方で、ルートバスを活用した道の駅周辺の市民からは、『JR西条駅までの路線バスがないから助かる』という声が大勢を占めている、という。

 「交通アクセスの問題が解決されれば、道の駅は東広島観光の目的地になることを実感している。地域の交通問題解決に向けた判断材料にもなる」と手応えを口にする。

 実証運行を視野に入れながら、今、注目しているのがインバウンド〈訪日外国人旅行客〉需要だ。広島空港から、貸し切りバスで、酒蔵通りと平和記念公園(広島市)の観光をセットにしたルートを思い描く。「空港から貸し切りバスで観光できれば、乗り継ぎや荷物の出し入れが不要で、手続きも楽。車種も多様にそろえており、観光客のニーズに応えたい」。

 インバウンドには力を入れつつも、地域の足としての役割を担う軸足は不変だ。「先端技術を活用しながら、地域に何ができるのか、地域の将来に何が残せるのかを考え、移動課題を解決していきたい」。

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