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「より良い社会に」市民目線でサービス展開 認定NPO法人陽だまり 代表 市川マヤさん

  • 2021/11/09

 認定NPO法人陽だまり(東広島市西条中央)は、2000年に設立した誰もが安心して暮らせるまちづくりの実現を目指すNPO法人。在宅福祉サービスや子育て支援に関する事業などを行い、12月10日に「コミュニティカフェfun fan陽だまり」を、ゆめタウン東広島の3階にオープンする。代表の市川マヤさん(52)に陽だまりの設立や活動の思いを聞いた。(山北)

 

陽だまり

 

 市川さんは24歳で結婚し、関東から東広島にやって来た。知り合いが一人もおらず、昼間は話す人もなく寂しかった。すぐに子どもが生まれたが、「娘のお母さん」、「市川さんの奥さん」と呼ばれる度に、自分の存在感がなくなり、社会とのつながりが切れたような気がした。

 

 そんな時に、折り込みチラシで地域福祉事業所のボランティア募集のチラシが目に入った。すぐに応募し、事業所で仲間ができた。その後、事業所は閉所になったが、残ったボランティア5~6人でできることを始めてみようとしたのが「陽だまり」設立のきっかけになった。

 

 2000年10月に「陽だまり」を約50人で立ち上げ、地域の人が互いに助け合う会員制の活動を開始。ぽかぽかで温かい場所にしたいと思い「陽だまり」と名付けた。「自分たちが感じたことを大切にしよう。ないものは自分たちでつくっていこう。その中で家族のような温かいつながりができたら」と思い活動を始めた。

 

 取り組みを進めていく中で、「制度からこぼれ落ちてしまう人たちの受け皿になりたい。東広島市に住んで良かった、子育てして良かったと思えるまちづくりをしたい」と強く願い、介護、福祉、子育て支援に必要なサービスを市民の視点で作り出した。

 

 市川さんは「多くの人から共感してもらえるような活動を展開し、より良い社会づくりに向けて取り組んでいきたい」と力強く話す。

 

 陽だまりの運営は会費、寄付金、助成金、事業収入で支えられているが、カフェの開設費用が不足するため、11月8日から12月24日の期間で300万円を目標にREADYFORでクラウドファンディングに初挑戦する。

 

PROFILE
いちかわ・マヤ 1968年生まれ。茨城県出身、東広島市高屋町在住。認定NPO法人陽だまり代表理事。社会福祉士、放課後児童支援員、ケアマネジャーの資格を取得。趣味はミュージカル鑑賞、サンフレッチェのサポーター。大学で社会福祉を学び卒業後、東京都葛飾区の区役所に就職。福祉指導という専門職で2年勤務。結婚を機に東広島市に移住。

 

「コミュニティカフェ fun fan ( ファンファン ) 陽だまり」

 地域の中に、子どもや学生、外国人、高齢者、障がいのある人、不登校の人などの居場所を作りたいと思っていた。今年度、東広島市が初めて取り組む地域共生型の子育て広場の「ひろば型子育て支援拠点開設・運営団体」の公募があり、陽だまりが西条北圏域で初めて採択された。カフェの名前は、楽しい場所にして陽だまりのファンになってもらいたいと思いを込めて「コミュニティカフェ fun fan 陽だまり」と名付けた。

 

 同施設は、12月10日にゆめタウン東広島3階にオープン予定。交流スペース、ラウンジ、飲食のスペース、本やおもちゃのコーナー、キッチンなどがあり約20人が入れる。相談室に陽だまりクラブの事務局を移し、高齢者や子育て世代の人が相談できるようにする。コーヒーなどの飲み物と、障がい者施設で作っているパンや焼き菓子を置きたいという。市川さんは「生き生きと働ける場所、困ったときに頼れる場所、人と人とを結びつける場所、だれもが社会の中に居場所を見つけ、幸せを感じられる場になれば」と目を輝かす。

 

「コミュニティカフェ fun fan 陽だまり」の主な事業内容

 

・ひろば型子育て支援施設

 乳幼児の親子の交流の場を週5日開設し、子育てをテーマにしたイベントも開催。

 

・陽だまりクラブ

 コーディネーターが常駐し、身近な生活相談や介護相談を行う。

 

・多世代交流イベント

 週末を中心に、小学生の体験活動、高齢者向けのお茶会などのイベントのほか、さまざまな学びの場を企画。

 

 市川さんは小学4年のとき、テレビで宮城まり子の「ねむの木学園」の人と人との魂の交流を見て、こんな世界があるのかと強く印象に残った。こういう仕事ができたらいいなと憧れた。大人になりその夢をかなえながら、着実に仲間とともに歩んでいる。

 

陽だまり
認定NPO法人陽だまりのスタッフと談笑する市川さん(右端)

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