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(THU)

県立広島高校1年生 「税に対する関心高める」作文で高評価

  • 2021/12/07
  • 2021/12/06

 国税庁は次代を担う高校生が、税に対する関心を一層深めてもらいたいという趣旨で、「税に関する高校生の作文」を募集。県立広島高校1年生の清水極光さんが国税庁長官賞を、松本茉子さんが広島国税局長賞を受賞した。本年度は全国1,563校から17万8,807編の作文が寄せられた。国税庁長官賞には全国で12人、広島国税局長賞には中国地方で5人が選ばれた。(林)

 

県立広島高校
(右)しみず・ひかる 県立広島高校1年生。趣味はピアノ演奏や音楽鑑賞。将来の夢は臨床医。
(左)まつもと・まこ 県立広島高校1年生。趣味はゲームやJ-POP音楽鑑賞。将来の夢は心理学に関係する仕事。

 

 国税庁長官賞を受賞した清水極光さんは「国際連帯税」と題して、国際社会を支えていく税金の使われ方と世界レベルの社会貢献について書いた。文中では、貧しい国の人々の医療援助、地球環境問題にも言及した。

 

 「当初、税金は国単位のものだと思っていた。しかし、インターネットで調べ、関連記事などを読むことで、地球に住む人全体のための税金のあり方として、国際的視点が必要と考え方が大きく変わった。国際連帯税は新しい概念なので、日本が今後どのような形で世界に発信できるのか大いに興味を持った」と清水さん。

 

 広島国税局長賞を受賞した松本茉子さんの作文は「消費税の増税は国民のためか」と題して、増税のメリット、デメリットについて書いた。

 

 松本さんは「中学3年生の時、日本は消費税を25%に上げるべきか。という議題について肯定、否定の両面から討論した経験があった。その経験をもとに詳しく調べて作文にした。今後も双方の考えについて専門家の話を聞いて学び税金のあり方に自分自身がしっかりとした考えを持ちたい」と、経緯と思いを話した。

 

 2人の受賞者を出した同高校の諸藤孝則校長は「当校の中学生独自教科(ことば科)が学びのベースとなり、高校生になって広い視点の考え方を作文にできた」と喜んでいた。

 

受賞作文

広島県立広島高等学校 1年生 清水極光さん

国際連帯税

 「税金とは、国や自治体が社会を支えるために、国民や住民から徴収するお金のこと。」辞書で調べると、大体このような説明がある。私たちは、社会の基盤である福祉や公共サービスを支えるために、多くの種類の税金を集めている。そして、それらの税金は国や自治体の単位で徴収される。それが税金というものだと、私は思っていた。

 

 しかし、ある記事を読んで、私は税金の見方が大きく変わった。それは、JICA(独立行政法人国際協力機構)による、国際連帯税についての記事だ。国際連帯税とは、国際的な活動などに課税し、税収を発展途上国の開発資金に充てるという取組で、国際的な税のことだ。例えば、航空券連帯税というものがある。これは航空機を利用する豊かな人々から税金を徴収し、感染症に苦しむ貧しい人々の治療に充てるという取組で、フランスや韓国で導入されているものだ。それぞれの国で集められた税収はUNITAID(国際医薬購入ファシリティ)に入り、貧しい人々が治療を受けやすくなるように援助する。また、まだ実現はしていないが、発展途上国の開発資金調達のために、通貨取引開発税という、特定の通貨に関わる全ての外国為替取引に課税する国際連帯税も提唱されている。金融市場は電子化が進んでいるため、この税金は徴収しやすく脱税されにくいと言われていて、将来的には大変有望な取組だとされている。

 

 現在、様々な分野での国際化が進むなか、税金までもが国際化していると知って、税金は国単位のものだと思っていた私は、新たな視点に気付かされた。政治経済、環境問題など、私たちの生活に直結する様々なことが、すでに国際化しているという現実を踏まえれば、税金という社会の支柱が国際化しないで、この国際社会を支えていけるはずはない。環境問題や貧困、新型コロナウイルスを巡る問題などは、一つの国だけで解決できる問題ではないのだ。国際的に課税し、多くの国々が協力して問題解決に当たるしか方法はない。個々の国々ができることは限られていても、いくつもの国が団結すれば大きな力になるだろう。そのために、国際的な問題には国際的な税金で対応するのが、一番効果的で合理的だと思う。

 

 深刻化している環境問題を始め、世界は危機的な状況にある。私たちのために、そして地球に生きる未来の世代のために、今こそ国境を超えた税金の力が必要だ。国際連帯税で世界を変えられると私は信じている。だが、日本まだその取組に参加していない。経済大国として、日本が国際連帯税を推進することには大きな意味があるだろう。将来、私が消費税以外での納税者になる時には、私のお金が国際連帯税を通じて世界に貢献できる社会が実現し、地球環境が改善していることを心から願う。

広島県立広島高等学校 1年生 松本茉子さん

消費税の増税は国民のためか

 私の通っていた中学校では毎年、中学二年生が日本語で、中学三年生が英語でディベートをする。議題は経済的・社会的なもので、肯定側と否定側に分かれ、インターネットや書籍から集めた確かな証拠を持って論を展開する。私が中学三年生のときの議題は、「日本は消費税を二十五パーセントに上げるべきか」というものだった。初め、私は否定側としてクラス内ディベートに参加し、その後、学年全体でのディベートでは肯定・否定の両方に立場を置く機会があった。

 

 約半年間、この議題と向き合ってきて考えたのは、「消費税の増税は国民のためか」ということだ。消費税は国民、それも働いているかどうかなどは関係なく、消費活動を行うすべての国民が払わなければいけないもの。増税について議論する中で最も大切なのは、増税による家計の圧迫以上の利益が国民にあるのかということ。これはどちらの立場でも共通して持たれていた認識だった。

 

 否定的な立場から消費税増税を見ると、それは全くもってあり得ないことだった。貧困層が先進国の中でも多く、消費税の高い国と比べて福祉、特に保育や教育、介護の体制は大して整っていない、そんな日本で今以上に「すべての層」から多額の税を徴収しようというのは、切実に増税による福祉の充実を願う人たちのためになるとは考えられなかった。

 

 けれど、肯定側から見てみるとどうだろう。消費税を増税すれば、当たり前だが税収が増える。また、所得税のような累進課税ではないので、景気などにも影響されにくく、安定して国の福祉制度を充実させられる。スウェーデンなどの高い消費税を課し、豊かな福祉政策を行なって、国民の幸福度が高いとされている国もある。消費税増税は、確かに国民のためなのだ。

 

 私は先にも言ったように、ディベート大会全体を通して、肯定と否定どちらともの立場で議論をした。もちろん、肯定の立場にある時は肯定的な考えをし、その逆もまた然り。ただ、ディベート大会が終わった今、「あなたの個人的な意見は?」と聞かれると、正直なところ答えられる気がしない。「わからない」のではない。メリットもデメリットも、かなり知っている自信はある。それでも、「結論を出せない」のだ。

 

 税について学ぶこと、考えること、それはとても重要なことであると私も思う。そして消費税について深く考える機会があったことにも感謝している。けれど、私はこれからどうしていけばいいのだろうか。まだ投票権はないし、結論が出せていないのだから、意見を人前で発信するのも難しい。

 

 ただ、今の税金制度に満足しているかと問われたら、首を横に振るだろう。私が大人になったとき、政治に参加するようになったとき、「国民のための税金」が確かなものになるよう、少しでも力になれたらいいなと思う。

 

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