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中間崇之さん / 合同会社CONTACT【FM東広島『喫茶897』第30回】

  • 2024/04/23

 FM東広島・毎週火曜日午後6時台に放送している『DOGENSURU NIGHT』内のコーナー『喫茶897』では、東広島の企業・団体の方にお越しいただき、いろいろなお話を伺っています。

 第30回のお客様は、県央の企業・店舗の代表が集まって地域課題に取り組む合同会社CONTACT代表の中間崇之(なかま たかゆき)さん。豊栄の地域課題解決に向けての取り組みなどいろいろとお話うかがいました。

 

 

 

 

 

 

地域の課題に接触していくCONTACT

— 合同会社CONTACTはどういった会社になるんでしょうか。

 令和元年に設立した、地元の事業者の集まりで作った会社になります。我々は東広島の豊栄町を拠点として活動しているんですが、その中でも地域の課題解決に努めている会社です。

 地域に課題はたくさんあるんですが、その中でも特に空き家問題。これに対して分散型ホテル事業という形で取り組んでいます。そして、地域経済に対してはイベント事業という形で、主にセントルマルシェというイベントの企画運営をしています。

 

 

— 合同会社の名前がCONTACTとなった経緯を教えてください。

 最初の頃、本当に社名がなかなか決まらなかったんです。そのうち、候補が絞られてきて、その中にCONTACTもありました。

 僕らが会社でやろうとしていることが地域の課題にぶつかっていく、ふれていく、つまり、接触していく、コンタクトしていくということでマッチしているなと感じました。それとなんとなくかっこいいなと(笑い)

 

 

— 地元の事業者の集まりで出来た会社という事ですが大変な点はありますか。

 みんな、本業ある上でのCONTACTの事業となるので制限は多くあり、時間や人は特に大変です。

 ですが、逆に言うと、地域をなんとかしたいという強い思いがあるという証明でもあると思っています。

 

 

アルベルゴ・ディフーゾという入口を生み出すCONTACT

— CONTACTの事業の1つである分散型ホテルについて教えてください。

 始まりは地域の課題、空き家問題というところです。この問題をどのように解決していくのかというところで着目したのは、「アルベルゴ・ディフーゾ」というモデルだったんですね。アルベルゴ・ディフーゾという言葉は、「アルベルゴ」というのがイタリア語で宿泊施設という意味で、「ディフーゾ」というのが分散するという意味。それを合わせた造語が分散型ホテル「アルベルゴ・ディフーゾ」なんですね。

 実は、イタリアでも日本と同じように空き家問題や人口減少問題があるんです。その対策としての旅行者が古民家の宿に泊まり自然や農村の暮らしを楽しむというのをコンセプトにした事業をおこなっています。

 CONTACTはこれをベンチマークして地域全体を宿泊施設と考えて、点在する空き家をホテルの一室にして提供していくという形になっているんですね。

 

 

 古民家には色んな形があると思うんですが、例えば、ある古民家は旅行者同士のコミュニティで活用できるスペースにするとかいろいろな形の空間が作れるんじゃないかと考えています。

 あとは、食べるところが1つ問題かなと考えているんですが、古民家一つ一つに食堂を作るというのは現実的に難しいので、地域の中心に古民家を改装したセントラルキッチンのような場所を用意して、そこから配膳するといった形にしていけたらと考えています。

 また、自分で食材を取りに来たり購入し自分たちの宿泊する施設でバーベキューをやるとかですね。豊栄地域全体がホテルとなると同時に、旅行者にも豊栄町民になったぐらいの気持ちで過ごしてもらいたいなと思っています。

 

 

— セントルマルシェについても教えて下さい。

 セントルマルシェは広島県商工会の事業としてスタートしてまして、CONTACTはそこの指定管理を受けて企画運営している会社になっています。

 大体年間で5,000人ぐらい集まって頂き、楽しんでもらっています。

 このマルシェは、河内・福富・豊栄の地元事業者とクラブセントルマルシェという会員の事業者さんで、白く統一されたテントを並べ様々なものを販売しています。会場では地元の食材を使った美味しいものが食べられたりとか、ここにしかないような木工品があったりとか、ポニーといった動物に触れ合うことが出来たりとか、色々なことをやっています。本物の牧草地の中でマルシェをやるというのはなかなか出来ないのかなと思っていて、出店者さんも50店舗近くになりますので、良い出会いがあると思います。

 また、豊栄町には賀茂北高校がありまして、その生徒たちともタッグを組んでやっていますので、本当に地域全体で盛り上げるマルシェになっています。

 

 

— 賀茂北高校の生徒たちはどのように関わっているのでしょうか。

 まず、CONTACTの大目的である「地域の存続」。

 これを達成する為にアルベルゴ・ディフーゾという手段を選びました。このアルベルゴ・ディフーゾを達成するための要素の一つとして地元住民との協力関係の構築を重要視しています。

 その中でも賀茂北高校との関係を強化しようと思っていまして、去年CONTACTと東京のワークデザインラボと賀茂北高校で三社連携協定というのを結びました。地域の課題を解決する一連のプロセスを一緒に考えていこうというわけですね。

 具体的な例を出すと、三者協定の中で一年間、セントルマルシェの事業者と商品開発をしていくカリキュラムを1年間びっしりスケジュールを決めました。

 これによって高校生は、家や学校の親や先生、先輩後輩といった縦軸の強い関係性だけでなく、横の関係を得るために学外で事業者達と繋がって生徒自らがいろいろと話をしてみようじゃないかと。一緒にいろんな商品を開発して、開催されるセントルマルシェでリリースしていくという形になっています。こういった試みが最終的に豊栄アルベルゴ・ディフーゾの魅力になり、賀茂北高校の魅力の創出に繋がり、地域の魅力の底力になるんじゃないかと期待しています。

 

 

 

— 中間さんがこの仕事をしていて印象に残っている事や嬉しかった思い出はありますか。

 設立した時が令和元年で、すぐコロナ禍となりました。大変だった状況下での最初の事業は、デパートの地下一階にテナントを設けて地元の産品を持って行きセントルマルシェというブランドで提供していくというものだったんですね。

 だけど、僕たちが謳っている事とお客さんのニーズがちょっと合っていなくて、市場調査がうまくできてなかったかなという苦い体験は覚えています。

 それともう一つ苦い体験がありまして。

 これもコロナ禍の話なんですが、やはり一か所に人を集めるイベントはなかなかできなかった時期なので、県央三町の、河内・福富・豊栄でセントルマルシェを3分割して同時開催をしたことがありました。

 お客さんが密にならずに楽しんでもらえたんですが、あまりにも県央が広いために、「三か所全部回れないよ」と言われてしまいました。その上、やってる側からしても当然3箇所同時開催は大変で、人手がいくらあっても足りないですから僕はもうずっとぐるぐるぐるぐる回っていましたね。

 

 

 でも、地元の事業者さんの情熱や思いがあって、お客さんと対面でやり取りが出来るというのはすごく面白く楽しいですし、やはりお客さんが楽しんでいる姿を見ることが出来た時には苦い思いもぶっ飛びました

 

 

社会貢献と企業利益を繋げるCONTACT

— 中間さんは何か趣味や好きなものはありますか。

 ゴルフ一択ですね(笑い)

 ゴルフが好きでもう仕事の最中はできるだけ考えないようにはしているんですけど、仕事が終わったらもう本当にゴルフのことばっかり考えています。帰って寝る前には動画を必ず見て、自分のスイングに落とし込んだりとか……ゴルフは本当に研究していますね。

 それで、このゴルフを仕事に活かせないかと構想中のものがありまして。

 たくさんある空き家の1つを古民家×シミュレーションゴルフという形にして、ゴルファー専用の宿泊施設を出来ないかなと考えています。

 これを思いついたのが、僕はよくゴルフで週末ラウンドとか行くんですけど、そのラウンドの前日に友達と打ちっぱなしとかに行って練習を軽くしたりするんですね。その後にちょっと明日の景気づけに食べに行くかと焼肉に行き、食べ終わってまたゴルフ談義をして夜遅くなって、また明日早いけどじゃあねと解散するという形になるんです。

 でも、それだったらもう前日からゴルファー専用宿泊施設に泊まって、お酒飲みながらシミュレーションゴルフを楽しんで、好きなだけゴルフの事を喋って、地元の美味しいものを食べてみんなで仲良く寝て同じ時間に起きて朝一緒に出発してゴルフをするという前日からゴルフをずっと楽しめるというコンセプトのものをやりたいと思っています。そういったコンセプト特化型の施設も増えていくとより面白くなるんじゃないかなと思いますね。

 

 

— 目標やビジョンを教えてください。

 まずは、分散型ホテル事業アルベルゴ・ディフーゾ。これの稼働を今年度やっていきたいと考えています。2024年4月時点では古民家の選定も終わっており、リフォームの最中となっています。

 その中で、賀茂北高校とも協力関係の構築に努めていき、セントルマルシェでのカリキュラムをしっかりおこなっていって総力を挙げて、アルベルゴ・ディフーゾを成し得ていきたいと思っています。

 

 

— 中間さんがCONTACTを一言で表すならなんと表しますか。

 ゼブラかなと思っています。ゼブラは日本語でシマウマですよね。

 ユニコーン企業というものがあるじゃないですか。ああいう企業はスタンスとして資金調達をどんどんしていってシェアをどんどん占めていく、要は自分がどんどん、という形だと思うんです。

 CONTACTとしてはそういうスタンスではなくて、どちらかというと、社会貢献と企業利益、一見相反するような二つを両立させていくというスタンスなんですね。

 

 

 そういった混在しているということで白と黒の縞模様、ゼブラな企業かなと考えています。

 

 

— メッセージをお願いします。

 合同会社CONTACTは事業者の集まりが設立した会社で、それぞれが本業がある中で事業をおこなっています。その時点で時間やお金もそうですが、人も制限がかかっています。特に人手不足が問題です。

 アルベルゴ・ディフーゾに興味を持ってくれた人がいたら、何もスキルはいらないので是非ご連絡ください。

 

 

 

 

アルベルゴ・ディフーゾの話を最初に伺った時に感じたとんでもないワクワク感はよく覚えています。豊栄ですごいことが始まってるぞ、と誰かに伝えたくて仕方なかった私ですが、私以上に笑顔で溢れてくるアイディアを語る中間さんが印象的でした。また、賀茂北高校の生徒の皆さんにとって貴重で良い経験だなと思うと同時に私もそういう経験をしたかったなと羨ましい気持ちも溢れて来ました。興味ある方、豊栄アルベルゴ・ディフーゾに参加してみてはいかがでしょうか。

 

 

会社情報

CONTACT

住所:〒739-2311 東広島市豊栄町乃美1083-5

事業内容:観光イベント事業、地域課題の解決

Instagram:https://www.instagram.com/karenzu_kurata/

 

記者の画像

森 新太郎

FM東広島パーソナリティ。広島大学教育学部卒。劇団を主宰し、演出や脚本も務める。

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