
大人と子どもでは、虫歯の進み方が異なります。「大人の虫歯は痛みを感じにくく、虫歯に気付いたときには手遅れになることも多いです」と話すのは、東広島市歯科医師会の古玉大祐さん(ふるたま歯科ファミリークリニック院長)。大人の虫歯で気を付けたいことを聞きました。(梶江)
大人の虫歯は気付きにくい
子どもの歯は大人に比べて軟らかいため、虫歯が早く進みます。大人の歯は成熟して硬いため、速く進行する急性的な虫歯よりも、ゆっくり進行する慢性的な虫歯が多くなります。慢性的な虫歯は、痛みが出にくく自覚がないまま虫歯が進行してしまうことがあります。また、虫歯でも進行が止まってしまい、治療を必要としないものもあります。
その原因は歯周病で、歯磨きの仕方やかみ合わせの悪さで、さらに増悪する可能性があります。歯茎が下がると、もともとは歯茎に覆われていた歯の根が露出し、そこが虫歯になりやすくなり(根面う蝕)、最悪の場合、歯を抜かないといけなくなることがあります。

治療した歯は虫歯が進行しやすい
歯全体を覆うかぶせをしている歯は、かぶせと歯茎の際から虫歯になることがあります。歯茎の際なので気が付きにくく、発見が遅れがちです。レントゲンで見ても金属のかぶせは白く映って中を確認できません。とがった器具で触るとぐじゅぐじゅになっていて、虫歯が奥まで進行していることがあります。また、治療をした歯で神経をとっている場合、痛みを感じないので虫歯の発見が遅くなりがちです。根っこの治療をした歯はもろく折れやすくなります。
治療した歯の虫歯を見つけるには、歯科で口の中をしっかり観察するしかありません。
大人の虫歯予防のポイント
1.定期的に歯のチェックを受ける
大人の虫歯は静かに進行します。健康な歯を保つためには歯科での定期点検と、日々の歯磨きが重要です。
2.毎日、適切な歯磨きをする
適切な歯磨きは人によって異なります。歯科医院で自分にあった歯磨きの方法、そのために必要な器具を教えてもらいましょう。
3.フッ素含有の歯磨き粉を利用
歯質を強化し、歯の再石灰化を促す「フッ素」が含まれた歯磨き粉がおすすめ。少量の水で軽くゆすぎます。
4.ダラダラ食べをしない
物を食べると口の中が酸性となり、その状態が長時間続くと虫歯になりやすくなります。食後の歯磨きやうがいで、口の中を早めに中性に戻すことを心掛けてください。
5.口の中を乾燥させない
高齢者は口の中が乾燥しやすくなります。唾液には口の中を酸性から中性に戻す働きがあり、唾液がないと虫歯リスクが高まります。口の中を潤わせておきましょう。
6.お菓子を食べ過ぎない
いつでも甘い物を食べることができる環境では、砂糖の摂取量が増えて虫歯が増えます。特に定年後は要注意。
「くさび状欠損」に気を付けて!
歯と歯茎の境目がくびれたように欠損している状態を「くさび状欠損」といいます。
段差があるので汚れがたまりやすく、歯磨きもしづらいので虫歯になりやすくなります。知覚過敏なども引き起こします。
また、歯ぎしりがあったりかみ合わせが悪かったりすると歯に負担がかかり続け、歯の根元の欠損につながります。
