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旬のスケッチ2022 新緑 鮮やか、牛悠々

  • 2022/06/06
牛

 かつて水田だった棚田に鮮やかな新緑が広がり、牛が悠々と草を食む。東広島市西条町下三永の福成寺に上がる途中の風景。都市化が進む西条に、こんなにも自然豊かな場所がある。

看板

 牛を放牧しているのは、福成寺地区の住民で構成する農事組合法人星ふる里(組合員13世帯、今岡良夫代表理事)。現在、13㌶の放牧地で、17頭を飼育している。牛が草を食べることで、景観や生活環境が維持されている。

ヤギ
4月からヤギ2頭が仲間入り。名前は白が「幸(さち)」、茶が「福」

 獣医による種付けや1日2回の餌やりを除いては、人の手を掛けていない。放牧地は柵で囲まれており、牛は好きな場所へ移動しては草を食べ眠っている。

とんがり帽子
手作りのとんがり帽子の小屋では期間限定で乾燥シイタケを販売したり、ヤギが食べる草を置いたりしている
つばめ
今、小屋の中にはツバメのひながおり、親鳥が餌を運んでいる

 同地区で放牧が始まったのは17年前。高齢化などによって耕作放棄地が増加し、対策として有志でつくる研究会が中心となって放牧を開始。その3年後に法人が発足し、人が集う場所にしようとドッグランや市民農園を設置した。

池
鯉
福成寺の池では元気なコイが泳ぎ、今、スイレンの花が咲いている

 運営費には国や県の補助金と子牛の販売収入を充てているが、運営状況は厳しいという。後継者不足の課題もあり、「対策を模索している」と今岡代表理事。
 豊かな自然の中、たくさんの生き物に出合い、感動するこの場所。多くの人に伝えたい。

集落
福成寺地区の集落の風景。放牧の効果で地形が守られている
四国山脈
広島天文台の展望台から見える四国山脈(奥の山並み)。雲のない日はもっとはっきりと見えるという
天文台
段になった放牧地で草を食べる牛。奥に見えるのは東広島天文台

写真 井川良成
文  橋本礼子

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