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樽本陽輔さん / 株式会社シナジー【FM東広島『喫茶897』第6回】

  • 2024/02/12

 FM東広島・毎週火曜日午後6時台に放送している『DOGENSURU NIGHT』内のコーナー『喫茶897』では、東広島の企業・団体の方にお越しいただき、色々なお話を伺っています。

 第6回のお客様は、株式会社シナジーの代表取締役社長、樽本陽輔(たるもと ようすけ)さん。シナジーの社名の由来からその根源となっている言葉の力、魅力の生み出し方などについてお話しいただきました。

 

※インタビュー内容は、FM東広島YouTubeチャンネルで音声として聞くことが出来ます。

 

SynchronicityとEnergy、人と志を繋ぐ会社が東広島で感じた可能性

―コンサルティング事業や人材サービス業などを行っているシナジーですが、どういった会社なんでしょうか。

 一言で言うと、人と志を繋ぐ会社ですね。

 シナジーという社名は『Synchronicity(シンクロニシティ)』と『Energy(エナジー)』を掛け合わせた造語なんです。シンクロニシティは共鳴し合うなどという意味で、エナジーはエネルギーや熱、つまり、一人一人の持つパワー、エネルギーだけではなくて、共鳴、シンクロさせた時に生まれる新しい価値や可能性を世に生み出していって貢献したいという思いがあります。

 予定調和ではない新しい価値が、人と人の間に生まれるきっかけを作っていけるような、そういう会社でありたいというところからつけた名前です。

 

―シナジーに社名変更されたのが平成20年、15年前という事ですが当時からそういった思いがあったんでしょうか。

 社員ともよく共有していますが、『何をするかよりも、誰とするか、どうありたいか』。

 それを優先して考えられる会社でありたいなと思っています。

 勿論、何をするかという事、そして、その後も大事なんですけど、シナジーの社名に込めたように新しい価値・想定外の価値を生み出す。そういったものを生み出すのに東広島はとてもマッチしているように思います。古くからお酒を中心とした伝統文化と、広島大学を中心とした若いエネルギーが重なりあった街だと思うんですね。それに、シンクロ、共鳴するように、全国、もっと大きく言えば世界に『何かユニークな会社が東広島にあるんだよね』とちょっとでも伝わるような、そういう会社でありたいと思っています。

 

不満と不安、若者が仕事を辞める理由

―人と企業を繋げるシナジーですが、『今の若い人たちが会社を辞める理由として、不満で辞めるよりも不安で辞める。会社に対する攻撃的な感情で辞めるよりも社会情勢も含めた漠然とした何かを感じてしまう傾向がある』という話を聞きました。今の世の中は『不安』に満ちていると感じますか。

 特にコロナの3年間、新しい世界になり、SNSも含めてテクノロジーを中心としてどんどん変わってきている感じがありますよね。特にコロナの影響で、人と繋がっていなくても作業が出来たり、一定のコミュニケーションをとることが出来るようになり、便利にはなりました。ですが一方では、心の部分に逆の、反動というものが人々の感情に芽生えているんじゃないかなと思っているんですよね。だから、心で誰かと繋がりたいという欲求みたいなものは、これからの時代、どんどん増えていくのかなと。その裏返しとして不安という感情が今、人々の中で大きくなってきているのかなと思います。

 

―樽本さんは、言葉の力を強調され、人の繋がりを大切にされている印象があります。

 色んな世界でみんな生きていますが、能力だけでは乗り越えられない瞬間というのがたくさんあります。持っているものだけでは乗り越えていけない瞬間が一人一人にあると思います。その時に、自分が壁を乗り越えたり、前に進める瞬間ってどんな瞬間なんだろうと考えたら、自分の隣にいる誰かの、また、隣じゃなかったとしても繋がっている誰かの言葉によって勇気づけられ、希望の光が見えることで前に進んでいけるんだと思います

 核になるのがやはり言葉だと思っています。

 言葉は人間だけがこの世の中で生み出した、人類の英知の結晶だと思うんですよね。言葉によって大きく進化してきたわけですから。

 

能力と魅力、人を惹きつける『特別』は特殊ではない

―ホームページの樽本さんの言葉で『能力主義よりも魅力主義』とありました。すごく素敵な言葉だと感じましたがこれはどういう意味でしょうか。

 仕事とは、社会の中で自分以外の誰かに対して貢献をするということ。それは能力を提供、もしくは、使うことで価値があると判断されるということだと思うんです。でも、能力だけで価値が生まれるのかというと決してそうではない。

 何故かというとやはり人は心で動いているからだと思うんです。

 今みたいに物が溢れかえった時代の中で、その能力を活かして物的に何かを提供しても簡単に価値と認められるわけではない。そのくらい人間は変わってしまっている。なので、物的な価値よりも新しい価値を求めている。例えば、『体験』。体験によって得られる価値、誰か自分の特別な人とその空間で分かち合う体験であるとか、そういった体験の中で生まれる自分の感情のようなものに価値を感じるようになってきていると思うんです。

 

―『魅力』を身につけるにはどうすればよいのでしょうか。

 何か没頭するものがある人というのはすごく魅力を持っていると思うんですね。

 例えば、私はテレビ番組が結構好きで、マツコの知らない世界という番組が大好きでして。何故かというと、すごくマニアックな趣味に対して極端な言い方をすれば命を懸けて没頭している世界がその出演者たちにはあって、その世界は自分にとって知らない世界だけど、すごくその扉を開けてみたいと思わせてくれる。そういう世界を持つということがすごく大事ではないかなと思っています。

 昔から差別化と言いますが、その前に区別。そして、特別。私の中ではこの特別がキーワードだと思っていて、誰かが特別だと感じることが出来た瞬間が魅力だと判定してもらえた時。だから、予想のつくことっていうのは、いいなとは思うんだけど魅力まではいかない。想像を超えた時に人がそれを受け入れることが出来たら魅力に変換されていくんじゃないかなと思っているんですね。だから、何かの世界に没頭する、そして、特別であるということがすごくキーワードじゃないかなと。

 

 例えば、単純な話ですが、挨拶。誰でも出来る事じゃないですか。だけど、誰にも出来ないくらい特別な領域にいったらこの人って世界一挨拶が『魅力』的な人になるんだと思うんですよ。だから、特別というのは特殊ではない。そして、誰でも出来る事であったとしても誰にも出来ないレベルに到達している人っていうのはすごく魅力的なんだと思っていて、私自身もそれを意識して日々生きています。

 

父と子、繋がり共鳴し生まれ続ける力を育てる

―樽本さんは何か趣味はお持ちでしょうか。

 若い頃はアウトドアに没頭していましたが、結婚してからは双子を育てることに夢中になって趣味を封印したので特別なものはないんですが、読書や料理を時間があればしていますね。

 

―この仕事に携わって印象に残っている出来事や嬉しかったことはありますか。

 一番は子育てと一緒で、若い社員がどんどん成長していって、どんどん必要とされる瞬間を見ているのが一番嬉しいですし、この仕事に携わってきてよかったなと、親心のようなものを感じた時が一番幸せな瞬間かもしれないですね。

 

―今後の目標をあげるとしたらなんでしょうか。

 会社を後世にどういう形で残していくかと考えた時に、お金は勿論ですが、会社の本質である『社会に貢献し続ける』ということを考えると、今の若い世代が活躍し、さらに若い世代に繋がっていくという形が一番望ましいなと。

 だから、能力ではなく魅力的な人々が、シナジーの一員として社会の中で活躍して、どんどん影響を与えて地域がより魅力的になっていってほしい。なので、(魅力的な)人を残すということがやはり一番経営のど真ん中なんです。

 これからの目標の1つとしては、10人の経営者を、私以外の社長がグループの中に10人、何か社長と呼べる人がいて、グループ企業として社会にさらに貢献する姿を見たいなと思っています。

 

―樽本さんにとって、シナジーという会社を一言で表すならなんでしょうか。

 僕の人生を賭けた、命といえるもの。子どもみたいなものですね。

 

―最後にメッセージをお願いできますでしょうか。

 人間という言葉は人の間と書きます。

 この地域の中でそれぞれお子さんからご老人まで、みんなこの地に足をつけて生きているわけで、また自分の隣にいる人との間に素晴らしい間が生まれていくために、自分の出来る事を精一杯探して頑張って魅力的なアイディアをどんどん作っていきたいなと思っています。皆さんも共感していただけたら嬉しいです。

 

 

 「聞かれれば答えるけれども自分から話すのは得意ではないんだ」と話していらっしゃいましたが、その答えの一つ一つに思いと言葉遊びが含まれていたり、偉人の名言からの引用であったり……。言葉の力を強く信じている樽本さんだからこそ、多くの引き出しをもって、厳選してその人に適切なものを取り出し見せてくれているような気がしました。喫茶897にご来店ありがとうございました。

 

企業情報

株式会社シナジー

住所:〒739-0041 広島県東広島市西条町寺家6840-1 アロフトユーカリ1階

事業:コンサルティング事業・人材サービス事業・建設工事業・ビル総合メンテナンス事業・警備業

企業HP:https://www.kk-synergy.co.jp/

 

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森 新太郎

FM東広島パーソナリティ。広島大学教育学部卒。劇団を主宰し、演出や脚本も務める。

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