がんや生活習慣病の多くは初期には自覚症状がない。「元気だから」「忙しいから」と自分の体を後回しにしないでほしい。かつて学生時代を過ごした東広島にこの春開業した実綿倫宏院長は、早期発見の大切さを訴える。(梶江)
健診を活用し早期発見へ
─なぜ東広島で開院を?
広島大学在学中に、1年間ほど東広島市で生活していました。卒業後は広島県内の地域中核病院などで、主に内視鏡を使ったがんの治療に長く携わり、早期発見の重要性を痛感してきました。「手遅れになる前に一人でも多くを助けたい」、そんな思いから、思い出の地である東広島市でこの春、クリニックを立ち上げました。

─「健診は大切」と分かっていても受診を躊躇する背景は?
東広島市の特定健診の受診率は34・2%で、県平均(30・6%)よりはやや高いのですが、7割近くの人は受診していない状況です(令和4年度)。忙しくて時間がない、また「病気が見つかったら怖い」という心理も働いているようです。しかし、「病気は見つかったら終わり」というのは、今の医療では過去のものです。胃がんも大腸がんも、早期発見できれば命に関わることはないと言えるほど医療は発達しています。
市から全員に届く「元気すこやか健診」の受診券は、自分が今年受けられる検査が分かりやすく通知される素晴らしいシステムです。自分の体を知るためのきっかけとして、ぜひ活用してください。
健康診断は、「自分の体と対話する貴重な時間」です。年に1回、日々の忙しさから少しだけ離れて、がんばっている自分の体と向き合うことを習慣にしていただきたいです。「元気すこやか健診」を大切なご家族や未来のあなたのために必要なことだと捉えていただき、ぜひ受診してください。
─要精密検査を、放っておく人も多いと聞きます。
「検査が怖くて放っておく」という気持ち、本当によく分かります。しかし、「要精密検査」という結果が出て、それを放っておくのは危険です。「要検査」は体が教えてくれたサイン。再検査ですぐに手術、ということでもありません。医療は医師と患者さん双方の信頼があって成り立つものですから、無理に検査を押し付けることはありません。「現状を知っておこうかな」という気持ちで医師を気軽に訪ねてみてください。
─検査自体への恐怖心もあります。
胃カメラは細くても昔の太いカメラと同等の綺麗な画像が見られ、しんどさは大幅に軽減されています。大腸カメラの下剤も飲む量が減り、錠剤や味の選択肢もあるなど、自分に合う方法を選ぶこともできます。さらにAIの診断補助という「もう一つの目」も加わり、より正確な検査ができ、鎮静剤を使 って寝ている間に検査することも可能です。こうした進化した医療機器の機能を活かして、苦痛を最小限に抑えながら小さな病変も見逃さない「楽で正確な検査」を行なえるクリニックが東広島には複数あります。
─メッセージをお願いします。
日常の忙しさを理由に健康を諦めないでください。最近ではWEB予約や問診、健診の結果説明を自宅のスマホで受けられるオンライン診療など、待ち時間を最小限に抑える仕組みも選べる時代です。検査への不安を和らげる技術や、通いやすさは日々進歩しています。そして、医師に遠慮せず何でも相談してください。

【実綿倫宏さん プロフィル】
広島⼤学医学部卒業。中国労災病院、マツダ病院などの地域中核病院で、内視鏡を用いたがん治療に携わる。2026年5月に同院を開院。鎮静剤を用い眠った状態で受けられる苦痛の少ない内視鏡検査で、消化管がんの早期発見、早期治療を目指す。医学博士、⽇本内科学会 総合内科専⾨医、消化器内視鏡学会専⾨医、消化器病学会専⾨医、消化管学会暫定指導医。
令和8年度 東広島市 元気すこやか健診への対応
●特定健康診査(特定健診)7月1日から
●後期高齢者健康診査
●がん検診、ウイルス健診
胃がん検診(胃カメラによる精密な検査が選択可能。鎮静剤も追加料金無し)
大腸がん検診(便潜血検査を行い、陽性の場合は大腸カメラへ)
前立腺がん検診(血液検査で腫瘍マーカーであるPSA値を測定)
肝炎ウイルス検診(B型、C型)














