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政治対談 どうなる? 次の衆院選 衆議院議員 新谷正義氏×時事通信社 解説委員 村田純一氏

  • 2023/08/08

 衆議院の小選挙区の数を是正する「10増10減」を反映した改正公職選挙法が成立し、次の衆院選は新たな区割りで行われる。広島県では、7選挙区が6選挙区になり、東広島市などが選挙区の現4区は、呉市などを含めた新4区になる。時事通信社解説委員の村田純一さんと、現4区選出の衆議院議員の新谷正義さん(自民)が、10増10減のねらいや、次の衆院選の時期、「政治とカネ」の問題などについて対談した。(聞き手 プレスネット編集委員・日川剛伸)

時事通信社 解説委員 村田純一氏
時事通信社 解説委員 村田純一氏
時事通信社入社後、政治部、経済一部を経てワシントン支局に赴任。帰国後は、政治部次長兼編集委員、福岡支社長、時事総合研究所代表取締役を経て、現在は時事通信社解説委員
衆議院議員 新谷正義氏
衆議院議員 新谷正義氏
 地元・東広島選出の衆議院議員で、医師。平成24年に初当選し、厚生労働大臣政務官、総務副大臣などを歴任。現在4期目で、議院運営委員会理事、自由民主党国会対策副委員長

10増10減について

 ―次回の衆院選から、小選挙区では「10増10減」の新しい区割りによる選挙が行われます。

村田 憲法の定める「法の下に平等」の下、最高裁が一票の格差を2倍未満とする判断を下したことで、選挙区の区割りがなされました。
 一方で、都市部の人口増加と地方の人口減少に、今後も歯止めがかからないようだと、5年後、10年後には、再度、選挙区の見直しが議論され、有権者や当事者である国会議員の間で混乱をきたすことを危惧しています。ひいては、国民の政治への関心を失わせることにもなりかねません。もう一つ、地方の声が中央の国政に届きにくくなることも懸念しています。

 ―広島県も1減って7選挙区が6選挙区になり、新谷さんが選挙区の現4区も区割りが変更されました。

新谷 広島県では、小選挙区からは6人しか当選しないことになります。政治家の観点から話をさせていただくと、政治家にとっては、有権者と顔を合わせて話をしながら、有権者とコミュニケーションを図ることは、とても大事なことだと思っています。
 選挙区が減ることで、政治家の顔が見えにくくなると、有権者にとっては政治に興味がなくなり、ますます投票に行かないようになるのでは、と危惧しています。一方で、選挙区が増える都市部でも、区割りの境界が大きく変わり、政治家と有権者の顔の見えない関係が出てきています。
 政治家は、何十万人という有権者の負託を受け国政に臨みます。「法の下に平等」ということは理解できますが、有権者や政治家の目線で捉えると、区割りについては、もっと考えていかなければならないだろう、と思っています。

衆議院議員 新谷正義氏

衆議院の解散時期

 ―衆議院の解散時期は。

村田 7月上旬まで東京・永田町では、9月中旬に内閣改造と自民党役員人事を行い、秋の臨時国会の冒頭で衆議院を解散し、10月22日にある衆議院と参議院の補欠選挙に合わせ、総選挙を行うという見方が支配的でした。
 ところが、各マスコミが行っている世論調査では、岸田内閣の支持率が6月、7月と2カ月連続で下落。時事通信では、30%の支持率を維持していますが、毎日新聞の調査では30%を下回りました。5月のG7サミットのときには支持率が45%を超えていたことを思うと、この下落には驚くしかないですね。私たちの世界でいう、政権維持の危険信号です。この状況下で岸田首相が解散に打って出るとは考えにくく、秋口の解散風は弱まりつつあるというのが、私の見方です。

新谷 国会議員の間でも、そのような雰囲気を感じています。振り返ってみると、国会議員の間で、解散総選挙の関心が最も高まったのは、政府の最重要法案だった防衛費増額の財源確保法などが成立した6月の通常国会の会期末のとき。結局は、解散はなかったのですが、あのときと比べると、解散の可能性は低くなっていると感じます。

 ―岸田内閣の支持率下落の要因は。

村田 国民の岸田政権に対する不信感を払しょくするには、政府がマイナンバーカードに対する説明責任をきちんと果たすことに尽きます。

新谷 本来、マイナンバーカードは、行政サービスを国民にあまねく行き届くようにして、国民の利便性を大きく高めることがねらいです。国民第一でマイナンバーカードのことを考え、政府には、不安の解消に向けた取り組みを強く求めていきたい、と思っています。

「政治とカネ」

 ―広島では「政治とカネ」を巡る問題が後を絶ちません。

村田 公職選挙法や政治資金規正法には、さまざまな罰則がありますが、政治家や秘書が基本的な法規を十分理解した上で、選挙活動を行えば、警察や検察が踏み込むまでには至らないと思います。ただ、どこかでタガが緩むというか、つい法の枠を踏み越えてしまう人が多いのが現実です。政治とカネの問題については、国会の場できちんと対応できるようにしてほしいですね。
 一方で、公職選挙法と政治資金規正法については、グレーゾーンが多く、若い政治家は、どこが法律に抵触するか十分に理解している人は少ないのが現実でしょう。先輩政治家がきちんと教えるべきです。選挙資金については、国民からいただいた浄財を別の目的で使うから国民は怒るのです。

新谷 民主主義国家において、ルールを順守することは、与野党を問わず、国会議員の絶対条件です。そのことを踏まえた上で、現実問題としては、選挙を含めた政治には資金が必要になるということは理解してほしいと思います。ただし、法に抵触したら、どんな言い訳も通用しません。私もそうならないよう、肝に銘じているところです。

 ―10増10減に伴う新広島4区では、「政治とカネ」でマスコミを騒がせている寺田稔氏が自民党公認として次の衆院選に立候補されます。

村田 新しい区割りで旧4区の新谷さんは比例に回り、新谷さんが地盤だった東広島を含めて、寺田さんが新4区をカバーすることになりました。ただ、寺田さんを巡っては、東京地検が21年の衆院選での公選法違反(運動員買収)の疑いで、地方議員らに任意の聴取を始めていますし、政治資金収支報告書への政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、刑事告発もされています。
 私は、今後の捜査の進展によっては、広島県の小選挙区の候補者に新たな展開が生じる可能性があるのでは、と思っています。

時事通信社 解説委員 村田純一氏

有権者と政治家に望むこと

 ―こうしたことを踏まえ、次の衆院選に、市民は何を知り、投票すべきでしょうか。

村田 基本中の基本ですが、まずは政治に関心を持ってもらいたいですね。その意味では、政治家には、多くの有権者と接してもらい、何をやっているのかしっかり訴えてほしいし、有権者も、自分の選挙区の候補者の発する情報を知るように努力をしてほしい、と思っています。

新谷 有権者への情報発信は、政治家として不可欠なこと。しっかり発信をしなければなりませんし、マスメディアの人にも、力を借りなければなりません。ただ、正直なところ、市民の人が日々の暮らしの中で、政治にたくさんの時間を割くというのは、あまり現実的ではありません。市民の人には、要所、要所で誤解のないように伝えていくことが大事だと思っています。


記者の目

 「河井問題」で50人を超える広島の地方政治家が、政治の世界から退陣したにもかかわらず、広島の各議会は、安芸高田市議会を除き、何事もなかったかのように機能している。「災い転じて福となす」ではないが、河井問題は県の政治がクリーンになる好機を与えたのではないか。
 その一例を示したのが、春の統一地方選。保守層の強い広島県にあって、春の統一地方選で見過ごせない変化が起きた。広島市議会で3人が当選した日本維新の会の躍進に見るように、しがらみに左右される地盤を持たなくても選挙に勝てることが如実に表れたからだ。
 とはいえ、投票率に見るように、政治に無関心な人はまだまだ多い。政治に無関心だと、損をする時代であり、政治に関心を持つことが、街の発展につながることは知っておきたい。(日川)

※今回は、新4区から立候補予定の寺田稔氏にも対談取材を申し込んだが、多忙を理由に断られたことを明記しておく。

対談はFM東広島(89.7MHz)で放送
放送日時
8月10日(木)午後7時~
8月14日(月)正午~ 再

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