98点の資料を展示している企画展(提供写真)
東洋一の軍港と呼ばれた呉港にスポットをあてながら、戦艦大和の建造に至った変遷をたどる企画展「竣工80年 戦艦『大和』と呉軍港」が呉市宝町の大和ミュージアムで開かれている。
呉港は、明治20年代に造成・建設工事が始まり、昭和7年に完成した。呉には、旧日本海軍の根拠地だった鎮守府と、海軍工廠(こうしょう)が置かれたことで、呉港は小さな港町から製鋼部を備える軍港として発展。大型戦艦を造ったり、修繕したりする役割を担うようになった。
最大時には、5つの造船ドックを持ち、終戦時までに戦艦から巡洋艦まで133隻を建造。「東洋一の軍港」と呼ばれるようになった。
今回の展覧会は、戦艦大和の完成から今年で80年になるのに合わせて企画した。軍港になる前の呉の港を解説した「港のあらまし」、新しい風景を生み出してきた呉軍港の変遷を紹介した「港を模る海軍の期待」など5章で構成。会場には海図や写真資料、動画など98点を展示している。
呉港の水深や地形などが分かり、軍事上の機密として扱われた大正期と昭和初期の海図や、代表的な造船ドックの図面などを公開。海軍が、大和の完成を昭和天皇に報告するために作った模型の復元品や、海軍工廠で造られた戦艦陸奥の主砲塔用甲板(部分)なども展示されている。
花岡拓郎学芸員は「なぜ軍港ができ、大和建造にまで至ったのかを感じ取ってもらえれば」と話している。
企画展は来年5月30日まで。入館料は一般800円、高校生500円など。コロナ禍に伴う緊急事態宣言のため、9月30日まで休館中。
詳細は、大和ミュージアム0823(25)3017。
(日川)