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【いい夫婦の日インタビュー】冒険、宝物-二人三脚の31年~東広島市八本松・難波平人さん・英子さん夫妻~

  • 2022/11/17

11月22日は語呂合わせで「いい夫婦の日」。東広島の「いい夫婦」の中から、画家の難波平人さん(81)と画家でギタリストの英子さん(同)夫妻に、夫婦ならではの芸術活動について伺った。

それぞれの作品の前に立つ難波平人さん(右)と英子さん

 平人さんは海外の辺境に出向き、取材をした上で作品を制作するスタイル。結婚してからは、取材旅行に英子さんも同行。これまでに108カ国を訪れた。「英語が話せる彼女と一緒に海外へ行くようになって、より深くその国の生活に入り込めるようになった」と平人さん。

難波夫妻
二人で行った海外のエピソードを話す平人さん


 英子さんは静物や音楽を作品のテーマにしている。取材旅行へ行くようになってからは、海外での経験を生かした作品に取り組むことも。「どの旅も未知の世界で冒険みたい。結婚してたくましくなったとよく言われます」。

難波夫妻
「結婚してたくましくなったとよく言われます」と笑う英子さん


 取材先は辺境のため、衛生や治安の面などでつらいことや危ないこともあったが、「二人だったから乗り越えられた」と笑い合う。


 それぞれ絵画教室の講師を務めながら、大作は年1枚のペースで作品づくりに励む。制作には体力を使うため、英子さんは二人の健康のためにと、食事作りに時間をかける。砂糖を使わず、だしを効かせて丁寧に。キッチンのそばにアトリエを設け、調理の合間に描くこともある。「結婚生活31年間、平人さんは常に完食。時間をかけて作った料理を全部食べてくれるのはうれしい」英子さんはにっこり。

難波夫妻
笑顔の難波夫妻


 二人ならではの活動もある。平人さんの作品に描かれた国の音楽を英子さんがギター演奏するイベントや、二人で世界を回ってきた記録を本(共著)にしたり「世界の美術紀行」として講話したりする活動。


 中でも、長期間にわたって続けている活動が、二人の生徒らで構成する「波の会」の主宰。発足32年、年1回の作品展を毎年開催している。「制作活動をしながらの運営は気力・体力的にけっこう大変。二人で支え合ったからこそ、これまで続けることができた」と平人さん。

難波夫妻
アトリエで筆を持つ平人さん
難波夫妻
平人さんのアトリエ


 今では、生徒の作品からエネルギーをもらったり、97歳の生徒が熱心に受講する姿に刺激を受けたりするなど、生徒から学ぶことも多いという。英子さんも「人とのつながりが宝物」とほほ笑む。二人三脚でこれまで育んできたつながりが、二人の元気の源にもなっている。

難波夫妻
英子さんのアトリエ 兼 楽器を練習する部屋

プロフィール

難波 平人 (なんば ひらと)東広島市在住の画家。2004年、中国文化賞受賞。現在、広島大学名誉教授、広島大学名誉博士、二紀会理事、波の会主宰、中国新聞文化センターなどの講師。2022年12月4日まで、東広島市立美術館で特別展「難波平人-世界集落、その魂を描く」が開かれている。

難波 英子 (なんば えいこ)東広島市在住の画家、ギタリスト。2013年、地方教育行政功労賞文部大臣賞を受賞。現在、二紀会会員、波の会主宰、中国新聞文化センターの絵画・クラシックギターの講師、NHK文化センター(世界の美術紀行、絵画)の講師。


写真 Tadashi Ooya
 Reiko Hashimoto

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